モルダウの黄昏・HoLEP (ホーレップ) 
  ―前立腺肥大と向き合った男の物語― (2009年11月新刊) 
    

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  金住 年紀 著/平成プロジェクト 企画・編集協力
             四六判上製本 144頁  2009年11月7日初版発行 定価:1,470円(税込)
  ISBN978-4-434-13789-1 C0093 \1400E
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男は能力喪失を決して認めない。
 前立腺肥大を救う福音−HoLEP(ホーレップ)という手術法の体験小説。
 男の不在証明?


 (金住年紀の傑作、ゴルフ道小説 『遥かなるオーガスタ−若き獅子たちの旅立ち−』、知玄舎から出版されております。)



 ISBN978-4-434-13789-1 C0093 \1400E
 【本書の紹介】

 前立腺肥大症は、男性特有の疾患である。
 患者数は年々増加しており、1990年に約25万人だった実際に治療を受けた患者数は、
 2002年には約40万人と急増。今日、潜在的には50歳以上の男性5人に1人、
 約480万人がこの疾患で悩んでいると言われている。
 前立腺肥大症の治療としての手術では代償として男性の性的機能の喪失が当然とされ、
 たくさんの患者を悩ましてきたが、最近、ホルミウムヤグレーザーを用いた内視鏡下の
 前立腺核出術「HoLEP(ホーレップ:holmium laser enucleation of the prostate)」が、
 この疾患で悩む人びとの福音となって登場した。
 HoLEPという手術では、大きな前立腺症例に対しても輸血の必要がなく
 安全に施行でき有用性が高くしかも、入院期間も大幅に短縮でき、その上に、
 男性の性的機能を損なうリスクがかなり軽減したという。
 著者は身をもってその効果を確認した。
 
 本書は、前立腺肥大症に悩んだ著者の体験を通して、
 男としての性を悩み、夢を見つづけて止まない男の黄昏を描いた小説である。
 フィクションではあるが、HoLEP手術の経過や結果は事実に基づき、
 前立腺肥大症患者の夢と希望とロマンを蘇らせるメッセージに満ちている。
 HoLEPという手術がもたらしたものは、男性という性への福音である。
 「男の不在証明(アリバイ)」を試みる著者が「男は能力喪失を決して認めない」と主張する理由を、
 あなたの中の「男」は気付かされるだろう。
 この小説は、誰もが多くを語らない男の本音、真実の生きざまの一端を垣間見せる。
 「男と女」という関係性は、近くて遠い人間社会の永遠の謎であるかもしれない。

 著者は1997年暮れに第一作目の
 小説 「遥かなるオーガスタ−若き獅子たちの旅立ち−」(知玄舎)を上梓し、
 だれもが舌を巻く圧倒的な表現力をもって読む者を釘付けにしたと一部で評判になった。
 じつは正業は弁護士であり、なおかつハンディ1の実力をもつアマゴルファーである。
 本書の上梓は作家としての二作目。
 人と人との関わりの機微が、前作と同様に色濃く展開されているのは、
 社会派弁護士としての長い経験から織りなされるものか。
 「男」としての本音の機微が見え隠れするだけでなく、
 そこから「女」との微妙な関わりが淡い色彩を帯びてロマンを漂わせる。
 本書の背景には、遠くスメタナの「モルダウ」が聞こえている。
単価 : \1470 (消費税込み)  購入する/数量 :    
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■目 次

 プロローグ 3

 第一章 前立腺肥大 19
 第二章 社内戦争 39
 第三章 ゴルフ談義 55
 第四章 手術 73
 第五章 夫婦の階段 89
 第六章 愛の小部屋 109

 エピローグ 129
 あとがき 139


●著者プロフィール

 金住 年紀 (かなずみ としのり)

 本名、則行(のりゆき)
 1939年12月23日愛知県生まれ。
 中央大学法学部卒、昭39司法試験合格。昭42第一東京弁護士会弁護士登録。
 東京都千代田区グリーン法律事務所所長(Fax:03-3263-3882)。
 趣味…囲碁(日本棋院六段)、ゴルフ(最高ハンディ1、ゴルフ自然人クラブ会長)、水墨画、和太鼓。
 著書…『遥かなるオーガスタ』(知玄舎)、『ファンタジックゴルフ』(共著:コボリ出版)
 使命…困った人を助けること。才能のある人をサポートすること。愛のきずなを世界中に広げること。

◎(株)平成プロジェクト(企画・編集協力/著者への連絡)
 〒102-0092 東京都千代田区隼町3-19 清水ビル5階
 TEL:03-3261-3970 FAX:03-3261-3971
 Mail :yuri112@attglobal.net
 URL:http://heiseimaster.com


【プロローグから、一部断片的に引用】

 私は、前立腺肥大を悩む患者に福音となるであろう“HOLEP”という最新の手術法に出会ったことを感謝し、男としての期待を込めて手術に臨んだ。

 麻酔の効き具合を部分的に確認する作業が終わって、いよいよ手術の段取りに入った時、私の脳裏には、薄れていく意識に代わって映像として美しい草原が現れ始めた。

 「途中には牧草の中を放牧された羊の群れがいる。放牧犬が空飛ぶ私に向かって吠えている。牧童もいる。あの真ん中に降りたいな。私の体は一気に山脈の森の中に吸い込まれた。深い、深い森だ。鬱蒼とした森の中に大木が重なり合っている……先程から渓流の緩やかな流れの音が聞こえ始めている。この渓流の源はどこだろう……」
 音楽が聞こえてきた。この渓流の源から聞こえている。聞き覚えがある。モルダウだ! 私の大好きな曲だ。高校時代の昼休み、初恋の人を思いながら学内に流れる有線放送で聞いたものだ。
 モルダウの水は流れる。源流のチョロチョロから始まり、支流と合流して川幅は広がり、下流に向かって悠々と流れる。周囲の村々は平和な生活に包まれ、子供は声を上げて走り回り、娘は踊る。モルダウはさらに流れる。川は段々と本流となり、水は岩に砕け渦をつくり遠くの海に向かってどんどん突き進む。

 それは、手術を受ける数日前の出来事であった。
 私の右腕の中でまどろんでいた[女]が不意に体を起こして、ベッドのサイドテーブルに置いた自分の腕時計をのぞき込んだ。
「あぁ、もうこんな時間ですわ」
 [女]は体を反転して、私の顔の左斜め上から「楽しい時間の過ぎるのは早いものですね」と言った。

【あとがきから、一部断片的に引用】

 「男の能力がないことを証明する」のは、不可能に近い。
 本書は、これを主題とする。

 前立腺肥大は男の能力喪失の象徴であるということ。

 世の中は嘘と嘘のせめぎ合い。
 本書はこれを副題とする。

 《過去》と《未来》は《現在》の中に収斂される。
 本書の結論である。
 五十歳以後の生活を考えるにあたって、過去の事実にとらわれたり、未来を願望することは無意味であるということ。
 現在の、今ここにある問題に集中することによってのみ、過去の経験が折り込まれ、未来に通ずる道が創造されるものであるということ。

 そしてHOLEPの結果。
 男として回復。


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