音源の取説[著作隣接権]徹底研究  (2025年6月新刊)

   ――クラシック聴き方革命~ストリーミングとPCオーディオ活用術

   奈良野 英介 著

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ■書店販売書籍:なし
   
  ■電子書籍: \1,320 (消費税別)
   2025年6月20日発行 →アマゾンでの購入はこちら

  ■POD書籍: \1,760 (税込)四六判196頁 ISBN978-4-910056-78-4)
   2025年6月14日初版発行 →アマゾンでの購入はこちら
   (ご購入はPOD書籍取扱い店:アマゾン、三省堂書店、楽天ブックス★その他書店では取扱いがございません)

  ※ご購入はTOPページの販売店でお求めください。
   価格は当社の販売希望価格です。
   各書店のキャンペーン等で販売価格が変更(読み放題、割引等)になることがあります。
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ◎本書について
  ウェブ上にあるクラシックの音源資産をフル活用するための、著作隣接権の徹底的研究を伴った書








世界最大級のオンライン動画共有プラットフォームとなったYouTubeが誕生してから20年、クラシック音楽の聞き方が変わった。CDを買い揃える必要がなくなった。音源は、ウェブにほとんどすべてがある。パブリックドメイン音源をダウンロードで無料で利用できるのが「Blue Sky Label」。最新録音や著作隣接権保護期間中の音源を、ストリーミングで有料で利用できるのが「Naxos Music Library」。その貴重な音源資産を、だれでも自由に利用できる時代になった。その背景にあるのが、著作隣接権。ウェブでアップロードされた音源は、どのようなライセンスで使用できるのか? その法的根拠を徹底研究し、著作権法30条「私的使用のための複製」の範囲で、価値のあるクラシック音源をどのように利用できるのかを解説(内国民待遇か?相互主義か?など)。同時に、ウェブ上のクラシック音源資産を、スマホやPCでオーディオとして再生する新しい聴き方を提案。かつての幻のフルトヴェングラーの録音をはじめ、最新の日本人天才ヴァイオリニスト、HIMARI~ベルリンフィル共演の驚愕の動画など、クラシック音楽の全動向を鳥瞰し、その音源資産をフル活用するための書。

奈良野 英介(ならの えいすけ)
 昭和24年埼玉県生まれ。男性。出版社にて雑誌、書籍の編集を経て独立。取材、撮影、執筆、DTPデザインなどマルチに活動する編集者、出版プロデューサー。著書:『[DTP]&[Epub3]現場で使える実践備忘録』、『著作物の取説:WEB徹底利用マニュアル』(知玄舎POD・電子書籍)。

●目次

 まえがき
序章 ビートルスの著作権・裁判 
◇――ビートルズの活動期は1960~70年代
◇――ビートルズ著作権の動向
第1章 フルトヴェングラーなどの古の名録音が揃い踏み
◇――クラシック音楽好事家に嬉しい時代
◇――誰もがここからのめり込む『運命』交響曲事始め
◇――かつては幻の指揮者・フルトヴェングラー
◇――時空を超えるYouTube体験――運命交響曲名演奏の数々
◇――幻の名演奏が、いつでもだれでも自由に聴ける
◇――歴史的録音と名指揮者・名演奏がぞくぞく
第2章 クラシックを聴く――CDからYouTubeの時代
◇――音質も必要にして十分のYouTube音楽動画
◇――YouTubeデジタル出力音はCD音質に肉薄
◇――新しいコンサートライブの音源が続々
◇――YouTubeの始まりと今
◇――著作隣接権の保護期間70年問題
◇――著作権と保護期間
◇――著作隣接権の保護期間:クラシック音源パブリックドメインの決め手
◇――作曲家(著作権者一般)の保護期間
◇――注意したい近代の主要な作曲家
◇――ロシアの代表的作曲家の著作権
◇――クラシック音楽の著作権保護期間:注意点
◇――国家間で異なる著作権法のややこしい問題
◇――演奏家の著作隣接権と[戦時加算]問題
◇――著作権・隣接権の三つの問題――パブリックドメインの判断
◇――著作権・著作隣接権の例外:戦時加算とは?
◇――戦時加算の有効性が争われた二つの民事裁判
第3章 ベルヌ条約から始まる国際的な著作権の基本
◇――ドイツの著作権法・保護期間
◇――ベルヌ条約をはじめとする著作権国際条約
◇――ローマ条約(1964年発効):著作隣接権の取り決め(ベルヌ条約の補完)
◇――WIPO実演・レコード条約(WPPT)
◇――WCT(著作権に関する世界知的所有権機関条約)
◇――送信可能化権と自動公衆送信
◇――TRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)
◇――万国著作権条約(略称:UCC)
第4章 アメリカの著作権:国際条約との大きなズレ
◇――1988年、やっと辿り着いた国際的理念
◇――アメリカの著作権保護期間を延長させたソニー・ボノ法と「ミッキーマウス」(参考)
◇アメリカの著作隣接権――日本ではどう考える?
◇――アメリカ録音の数々の名録音が、いま、パブリックドメインに:朗報
第5章 パブリックドメイン音源の見極め
◇――欧州連合の著作権法:2019年DSM著作権指令
◇――1967年までの録音音源
◇――日本の著作隣接権
◇――パブリックドメイン配信(YouTube等)音楽の音質
◇――CD音質とYouTube音質の違い 
第6章 「私的使用のための複製」の条文を読み解く
◇――著作権法30条「私的使用のための複製」の問題
◇――私的録音録画補償金制度とは?
◇――テレビの地デジ放送の録画の補償金は?
◇――CDから音声をリッピングしてスマホで聞くのは違法?
◇――私的録音録画補償金制度
◇――1953(昭和28)年問題
◇――チャップリン裁判
◇クラシック録音:パブリックドメイン~1967年
◇――実演家も著作権者扱いの旧法から、著作隣接権が分離した新法~1971年以降の問題
◇――フルトヴェングラー(指揮者)録音の場合
◇――著作隣接権は、内国民待遇か相互主義か?
第7章 アーカイブ音源の宝庫:YouTube~BlueSkyLabel
◇――オーディオの変化~CDからデータへ
◇――ピュアオーディオを震撼させるデジタルPCオーディオ
◇――クラシック音楽の超巨大図書館:YouTube
◇――クラシック配信YouTubeのミニ歴史
◇――YouTubeクラシック分野の推測的状況
◇――クラシック音楽YouTubeの問題点:広告
◇――世界のクラシック音楽ライブラリー:Blue Sky LabelとNaxos Music Library
◇――音声データ[WAV][flac][AAC][mp3]の違い僅差
◇――音声圧縮と音質劣化:ストリーミング128~320kbpsの実用性
第8章 インターネット時代の聴き方革命:スマホとPC
◇――消えるCD専用プレーヤーの背景
◇――CDリッピングはメディアプレーヤー・レガシィー(従来型使用の提案)
◇――CDプレイヤー不要のスマホ・PCオーディオ時代
◇――音声ファイルの編集と変化:自分好みの音に作り替え
 あとがき


 まえがき
 
 YouTubeは、アメリカ・カリフォルニア州サンブルーノに本社を構える、世界最大級のオンライン動画共有プラットフォームです。2005年にPayPal出身のチャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリムの3人によって設立され、翌年にはGoogleに16.5億ドルで買収され、現在はその子会社として運営されています。サービス名の「You」は「あなた」、「Tube」は「ブラウン管(テレビ)」を意味し、ユーザーによるコンテンツ発信の場としての意図が込められているそうです。
 仕事柄(編集職)、モニターの一つがほぼYouTube用となってから10年以上になります。時事問題を常にウォッチしつつ、ときどき趣味の大好きなクラシック音楽を聴くようになりました。気づくと、1950年代前後のかつてのフトルヴェングラーなどの歴史的名演、レコードの全集などの音源が続々とアップされていました。音質にやや甘さはありますが、音楽を聴くには充分な音質です。しかも無料……、クラシック愛好家にとっては、とんでもない夢のような環境がYouTubeによってもたらされたのです。
 私はしかし、いくら聴いても無料な音源の権利が気になり始めました。調べると、同じ音源が、複数のサイトから別々にアップされているようです。どうしてそんなことができるのか? 音源には権利がないのか?
 著作権については、2022年『著作物の取説:WEB徹底利用マニュアル』(知玄舎POD書籍、ISBN978-4-910056-40-1)という本を上梓して、「著作権法とベルヌ条約、パブリック・ドメイン、CCライセンス、コモンズ、フェアユース、地理院地図」について深堀解説をしました。
 本書では、クラシック音楽を聴く立場から、演奏や録音の音源の権利、「著作隣接権」について調べ、まとめました。パブリックドメインや私的利用の法的解釈や問題などを理解できる範囲で解説しました。ただし私は法律の専門家ではありません。著作隣接権は、国によって法的にかなりの違いがあります。日本においても、旧法から新法に移行して認められた権利です。古い音源がたくさんあるアメリカにおいては、極めて複雑です。著作隣接権の映画においては、訴訟もあります。取り扱いには、充分な配慮が必要です。本書は、そのための解決を示すことはできませんが、解決のためのアルゴリズムの材料になれば幸いです。
 また、YouTubeの世界的普及は、音楽の聴き方のスタイルを根底から変えました。クラシック愛好家は好きなCDを少しずつ購入して自分のライブラリーを作って期間したが、クラシック音楽のパブリックドメインに特化したBlue Sky Label(無料)や、Naxos Music Library(有料)が、さらに充実した聴き方ができる方向性を示しています。
 インターネット利用でストリーミングやダウンロードで聴けるようになると、これまでのオーディオは、再生はCDプレーヤーに代わってスマホやPCになります。スマホ~ヘッドフォンでもすばらしい音響を楽しめます。PCオーディオ(スピーカー)では既存のCD資産をすべて生かした自分ならではのライブラリーを構築できます。そういう時代になったのです。(2025年6月)



TOPページ