メキシコ・ユカタン地方の音楽   (2019年8月新刊)
    ~カンシオン・ユカテカ~
早川 智三 著 
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●POD書籍 A5判 128頁 【本文カラー印刷】 2019年8月12日初版発行 価格:(本体1600円+税)
ISBN978-4-907875-98-5 発行:知玄舎 (ご購入はアマゾンのみ。他書店での取扱いはございません)
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メキシコ湾に飛び出たユカタン半島、この地方に伝わる音楽を紹介した書。
  ユカタン音楽の魅力は第一に抒情的な美しい詩で書かれていること。第二に歌詞の内容に合った感傷的で心地よい曲想のメロディーとリズムを持っていること。第三にそれらを表現するトロバドーレス(吟遊詩人)の演唱の豊かさ。「この地には大変美しいメロディーを持った歌曲が存在する。『カンシオン・ユカテカ』または『トローバ・ユカテカ』と呼ばれる音楽である。この書を出版する直接のきっかけとなったのはこの美しいメロディーと純粋な歌詞で歌われる音楽に魅せられたからだった」(本書「はじめに」から)。ユカタン州首都メリダから探訪するマヤ遺跡で有名なこの地方は、白い色の家や白い衣装に特徴があり、レコードジャケットの写真から、白い美しい衣装をまとった女性歌手の魅力的な面影が見て取れる。本書はこの地方の音楽アルバムを中心に、作曲家、演奏家、歌手などを集大成。メキシコから南米にかけての音楽評論で知られた著者が上梓してきた『アルパの調べと歌』『パラグアイ音楽名曲選』『中央アメリカ音楽の旅』『メキシコの伝統音楽』(すべて知玄舎)につづくシリーズ5冊目、フルカラー印刷本。因みに「カンシオン・ユカテカ」とはユカタン地方の歌曲のこと。

◎著者プロフィール
早川 智三(はやかわ ともぞう):1939年、埼玉県に生まれる。1963年、上智大学外国語学部イスパニア語学科卒業後、(株)日立製作所入社。1971年から1979年まで中米パナマ共和国の日立セールス・コーポレーションに勤務。その間同社家電製品の販売のため中南米諸国を行脚。帰任後も同社の中南米諸国向けの国際業務に従事。1999年同社退職後はスペイン語の通訳・翻訳、中南米音楽の解説、執筆などを行う。現在さいたま市に在住。著書に『アルパの調べと歌』『パラグアイ音楽名曲選』『中央アメリカ音楽の旅「ある恋の物語」』『メキシコの伝統音楽』(知玄舎)がある。

■目 次

 はじめに

 1.カンシオン・ユカテカの発祥

 【閑話休題】CANCIÓN MEXICANA (メキシコのカンシオン) 

 2.ユカタン地方を代表する作曲家たち

 《創成期》
 1)CIRILO BAQUEIRO PREVE(シリロ・バケイロ・プレベ)(1848-1910)
 2)FERMIN PASTRANA “HUAY CU’UC”(フェルミン・パストラーナ「ウアイ・クウク」(1857-1925)
 《最盛期》
 3)GUTY CARDENAS(グティー・カルデナス)(1905-1932)
 【閑話休題】グティー凶弾に倒れる
 4)JOSE CONCEPCION “PEPE” DOMINGUEZ(ホセ・コンセプシオン「ペペ」ドミンゲス)(1900-1950)
 5)RICARDO PALMERIN(リカルド・パルメリン)(1887-1944)
  【閑話休題】カンシオン・ユカテカの歴史的録音
 6)ARMANDO MANZANERO CANCHE (アルマンド・マンサネーロ・カンチェ)(1934- )
 7)PASTOR CERVERA ROSADO (パストール・セルベーラ・ロサード)(1915- 2001)
 8)ARTURO ALCOCER ESCAMILLA(アルトゥーロ・アルコセール・エスカミージャ)(1913-1985)
 9)JUAN ACERETO MANZANILLA(フアン・アセレート・マンサニージャ)(1930-1991)
 10)JOSE NARVAEZ MARQUEZ(ホセ・ナルバエス・マルケス)(1915- 1994)
 11)WELLO RIVAS (ウエジョ・リーバス)(1916-1990)
 12)ENRIQUE “COQUI” NAVARRO(エンリケ「コキ」ナバーロ)(1934- )

 3.ユカタン音楽の発展に貢献した詩人たち

 1)JOSE PEON CONTRERAS (ホセ・ペオン・コントレーラス)(1843-1907)
 2)RICARDO LOPEZ MENDEZ (リカルド・ロペス・メンデス)(1903-1989)
 3)LUIS ROSADO VEGA(ルイス・ロサード・ベガ)(1873-1958)
 4)ANTONIO MEDIZ BOLIO(アントニオ・メディス・ボリオ)(1884 -1957)
 5)ROSARIO SANSORES(ロサリオ・サンソーレス)(1889-1972)
 6)ERMILO “Chispas” PADRON LOPEZ(エルミーロ「チスパス」パドロン・ロペス (1898-1978)
 7)CARLOS DUARTE MORENO(カルロス・ドゥアルテ・モレーノ)(1906-1969)
 8)MANUEL DIAZ MASSA(マヌエル・ディアス・マッサ)(1909-1977)

 4.ユカタン地方出身の音楽家たち

 1)Nicolás Urcelay Alonzo(ニコラス・ウルセライ・アロンソ)(1919-1959)
 2)Enrique Cáceres Méndez(エンリケ・カセレス・メンデス)(1934- )
 3)Carlos Lico(カルロス・リコ)(1937- )
 4)Imelda Miller(イメルダ・ミジェール)(1940- )
 5)Juan Magaña y Alonzo(フアン・マガーニャ・イ・アロンソ)
 6)Rubén Zepeda Novelo(ルベン・セぺーダ・ノべーロ)(1931-1974)
 7)Miriam Núñez(ミリアム・ヌニェス)
 8)Maricarmen Pérez(マリカルメン・ぺレス)(1955- )
 9)Saúl Martínez(サウル・マルティネス)(1914-1969)
 10)Los Caminantes(ロス・カミナンテス)
 11)Los Condes(ロス・コンデス)
 12)Los Montejo(ロス・モンテーホ)
 13)Los Duendes del Mayab(ロス・ドゥエンデス・デル・マヤブ)
 14)Trío Guayacán(トリオ・グアヤカン)
 15)Cuarteto Armónico(クアルテート・アルモニコ)
 16)Trío Panamericano (トリオ・パナメリカーノ)
 17)Cuarteto Amarkhanto(クアルテート・アマルカント)
 18)María Medina (マリア・メディーナ)(1954- )
 19)La Orquesta Típica de Yukalpetén(ラ・オルケスタ・ティピカ・デ・ユカルペテン)
 20)その他のグループ

 5.ユカタン音楽を録音したシティーの音楽家たち

 1)Chucho Martínez Gil(チューチョ・マルティネス・ヒル)(1918-1988)
 2)Los Hnos. Martínez Gil(ロス・エルマノス・マルティネス・ヒル)
 3)Trío Los Panchos(トリオ・ロス・パンチョス)
 4)Trío Hnos. Michel(トリオ・エルマノス・ミチェル)
 5)Trío Calaveras(トリオ・カラベラス)
 6)Trío México(トリオ・メヒコ)
 7)Amparo Ochoa(アンパロ・オチョア)(1946-1994)
 【閑話休題】ユカタンのコントラバス「Tololoche(トロローチェ)」

 6.ユカタン音楽の旅

 Serenata Yucateca(ユカタンのセレナータ)
 Jesús Armando(ヘスス・アルマンド)
 Rubí(ルビ)
 Emma Alcocer Méndez(エンマ・アルコセール・メンデス)
 【閑話休題】ユカタン半島のマヤの遺跡
 CHICHEN ITZA(チチェン・イツァ)
 UXMAL(ウシュマル)
 KABAH(カバー)

 7.代表的なカンシオン・ユカテカ

 NUNCA 「ヌンカ」
 FLOR「フロール(花)」
 OJOS TRISTES「悲しげな瞳」
 QUISIERA「キシエラ」
 RAYITO DE SOL「太陽の光」
 A QUE NEGAR「ア・ケ・ネガール」
 PEREGRINO DE AMOR「愛の巡礼者」
 CAMINANTE DEL MAYAB 「マヤブの旅人」
 GOLONDRINA VIAJERA「旅するツバメ」
 PARA OLVIDARTE 「きみを忘れるために」
 LAS DOS ROSAS「二つのバラの花」
 EL ROSAL ENFERMO「エル・ロサール・エンフェルモ(病んだバラの木)」
 PEREGRINA「ペレグリーナ(巡礼娘)」
 LAS GOLONDRINAS (YUCATECAS)「ユカタンのツバメ」
 SEMEJANZAS「セメハンサス(類似)」
 FLORES DE MAYO「五月の花」
 BESO ASESINO「ベソ・アセシーノ」
 EL PAJARO AZUm_mexico.bak へのリンクL「エル・パハロ・アスール(青い鳥)」
 AQUEL PAJARO AZUL「あの青い鳥」
 GRANITO DE SAL「グラニート・デ・サル」 
 PRESENTIMIENTO「プレセンティミエント(予感)」
 ELLA「エジャ(彼女)」
 LA MESTIZA 「ラ・メスティ―サ(混血娘)」
 MI ULTIMA CANCION 「私の新しい歌」
 QUISIERA SER GOLONDRINA 「ツバメになりたい」
 GOTA A GOTA「ゴータ・ア・ゴータ」
 PASION Y TERNURA「情熱と愛しさ」
 TE AMARE TODA LA VIDA「命の限りきみを愛す」
 TU Y LAS FLORES「あなたと花」
 MERIDA「メリダ」

 参考資料
 1)COMPOSITORES YUCATECOS「ユカタン出身の作曲家」
 2)LETRISTAS YUCATECAS「ユカタン出身の作詞家」
 3)COMPOSICIONES de GUTY CARDENAS (グティー・カルデナスの主な作品)
 4)COMPOSICIONES de JOSE “PEPE” DOMINGUEZ ZALDIVAL(ペペ・ドミンゲスの主な作品)
 5)COMPOSICIONES de RICARDO PALMERIN PAVIA(リカルド・パルメリンの主な作品)
 6)Composiciones de Otros Compositores y Letristas(その他の作詞家・作曲家の作品)

 あとがき

 
 はじめに
 メキシコ湾に飛び出た半島がある。ここをユカタン半島と言いユカタン、キンタナロー、カンペーチェの三州から成っている。ユカタン州の首都メリダへはメキシコ・シティーから飛行機に乗ると約一時間半で行ける。私が初めてこの地を訪問したのは1999年3月だった。
 
 マヤ遺跡を訪ねることが主目的だった。メリダはそれらの遺跡群をまわって歩く拠点となる便利なところだ。メリダの街は大変落ち着きのある静かなところで、家々の壁が白いところからシウダー・ブランカ(白い都)と呼ばれている。また街を歩く人々も白い服を着ていることからもこのように呼ばれているようだ。ここからマヤ遺跡群、チチェン・イツァ、ウシュマル、カバーなどを訪ねた。これらの古代遺跡はかつて栄えたマヤ文明を彷彿させるものだった。
 
 ところで、この地には大変美しいメロディーを持った歌曲が存在する。「カンシオン・ユカテカ」または「トローバ・ユカテカ」と呼ばれる音楽である。この書を出版する直接のきっかけとなったのはこの美しいメロディーと純粋な歌詞で歌われる音楽に魅せられたからだった。
 


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