[当事者研究]新しい自己発見の方法 (2020年5月新刊)

   ――熊谷晋一郎東大准教授による高校での当事者研究 

   無料塾ココロ編著 (西田みどり責任編集)
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  ■電子書籍: \1,200 (消費税別)
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  ■POD書籍: \1,800 (消費税別)/(A5変形判185頁 ISBN978-4-910056-12-8)
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 ◎本書について
  学校教育の現場で起こる、不登校やいじめ、自殺等の問題を自然に解消する「当事者研究」とは何かがわかる本。


学校教育の現場で起こる、不登校やいじめ、自殺等の問題を自然に解消する「当事者研究」とは何かがわかる本。本書は、埼玉県飯能市の自由の森学園中学高校で行われた「当事者研究」というワークショップ形式の講義をまとめたもの。「当事者研究」とは①なぜその困り事が起きているのか、②どんな方法で困り事とつきあっていったらいいのか、③それにどう対処すればいいのか――を参加者も加わって研究し、「困り事を生じさせるパターン」を見出し、「対処法をくふうする」という一連の方法。ただしだれもが「困り事に対してアドバイスはしない」「困り事を解決しようとしない」というユニークなきまりがある。学校教育の現場で起こっている不登校やいじめ、それによる自殺などの問題に対処できる実績がある。講師として招かれたのは当事者研究の第一人者である東京大学先端科学技術研究センター准教授の熊谷晋一郎氏。このイベントの推進者は、現役の高校3年生。課外体験授業「プロフェッショナルと会う」の一環として実現したもの。

◎編著者紹介
無料塾ココロ(代表・西田隆男):2017年5月より山梨県甲府市で「甲州無料塾ココロ」として無料の学習支援塾を始める。2018年2月より同県山梨市の自立援助ホームでアウトリーチの学習支援を始める。2018年9月より埼玉県飯能市でも無料の学習支援塾を始める。2020年4月に「無料塾ココロ」と改名。上梓した本に『無料塾―ワクワクする学習の場』がある。/編集人=西田みどり:無料塾ココロ理事。文学博士。芝浦工業大学非常勤講師。著書に『〈型〉で書く文章論』『論理的文章作法』『[異界見聞録6]平田篤胤著「勝五郎再生記聞」現代語超編訳版』(以上、知玄舎)、『サイババ超体験』『抱きしめる聖者アマチの奇蹟』(以上、徳間書店)など多数。


●目次

第一章 熊谷晋一郎・東京大学先端科学技術研究センター准教授による「当事者研究」ライブ
――学校でのライブ解説編―― 10
◎当事者研究ワークについて
1.当事者研究とは当事者の持っている「困り事」を対話で研究していくこと
◎まず快適な場に座る
◎困り事を開示する
◎困り事にどう対処するか――みんなで知恵をしぼろう
◎「人に話せない困り事」とはどんなものか
◎「恥ずかしい困り事」と「恥ずかしくない困り事」
◎「UFOに狙われている」という困り事は人に相談できるか
2.苦労のエピソードを正確に思い出す
◎「私はいつも」ではなく、「私はあのとき」(5W1Hで)
3.苦労のパターンをみつけだす
◎「エピソード」には心癖が反映している
――実践・当事者研究編―― 41
4.当事者研究の手順と進捗
◎「苦労のパターン」から「苦労の物語」をみつけだす
◎フロアの「応援団」と当事者のやり取り
◎次の段階は苦労の物語
◎〈苦労の物語〉の解説
◎阿部素花さんの実験、事後報告
5.自己肯定感に繋がる当事者研究への期待と手引き
◎「体」と「物語」を整理整頓
◎参加者からのメッセージ
◎寄稿/阿部大地「熊谷先生の当事者研究を企画して学んだこと」
◎寄稿/伊倉真紀「裏方のお手伝いを通して見えてきたこと」
◎学校で行う当事者研究の手引――ワークシートと記入実例
【コラム】宮沢賢治「春と修羅」
第二章 無料塾ココロの実践報告と展望 
1.無料塾ココロのメンタルトレーニング:日々の暮らしでの気持ちのあり方――西田隆男(無料塾ココロ代表)
◎ここぞという場で実力を発揮できるようになったケース
◎空白の不登校を克服したケース
2.無料学習支援塾が与える希望――古屋将一
◎甲州無料塾ココロから感じた「無料学習支援塾」の可能性
◎ソーシャルスキルの場
◎自己肯定感の育成の場
◎居場所としての場
◎希望の場としての「無料学習支援塾」
【コラム】武者小路実篤「馬鹿一」
第三章 当事者研究のはじまりと広がり――「浦河べてるの家」と海外交流
1.日本で生まれた「当事者研究」という技法
◎北海道発――最初の当事者研究は爆発から始まった
◎当事者研究の普遍化――文化も場面も超えて使える技法への可能性
【エッセイ】藪内志津子「歩く旅のススメ」
2.海外に広がった「当事者研究」
◎韓国では2冊の本の翻訳とドキュメンタリーがきっかけになった
◎オランダのケアの町エルメロへ
◎国際交流基金から「21世紀東アジア青少年大交流計画」への協力依頼
◎韓国の精神保健関係者から「当事者研究の普及を」という招きで7名が訪韓
◎外務省のODA(政府開発援助)の調査プロジェクトでスリランカへ
◎バングラディシュでは家の座敷牢に入れられていた少女と当事者研究
◎ドイツ・ビーレフェルト市の「総合医療・福祉共同体ベーテル」を訪問
◎イギリスでメンタルヘルス関係のワークショップに参加
【エッセイ】藪内志津子「この紙一枚の中に・・・」
第四章 児童虐待からの回復と自立支援
1.「大きい子ども」の駆け込み寺:自立援助ホーム
◎行き場のない「大きい子ども」
◎「大きい子ども」には愛着修復が必要
◎疑似家族を目指す自立援助ホーム
◎信頼できる大人との出会いで進路が開ける
◎JKビジネスのお兄さんに負けない情熱をもって子どもたちを自立援助ホームに
2.ドキュメンタリー映画「プリズン・サークル」(坂上香監督)から見えてくる当事者研究の力
◎刑務所で始まった更生プログラム
◎虐待体験の価値――ひとりの人間が精一杯生き抜いてきた経験と知恵の源
【コラム】原作:井原西鶴・現代語版「驚くは三十七度」
第五章 対話による教育――哲学プラクティスの導入 西田隆男
1.哲学プラクティスの可能性
◎現代の学校教育の問題
◎哲学プラクティスとは
◎哲学対話の理念と目的
2.子供のための哲学(P4C)実践事例の紹介
◎哲学対話のケース・スタディ
◎哲学相談―カウンセリング、コンサルテーションのケース
◎今後の展望―多元的共生社会を生きる
 編集後記


 
◎当事者研究ワークについて
 
 学校とは、知識を学び、受験勉強し、集団生活でのルールを身につけることで、社会に出る準備をするところ――というのが一般的なイメージだろう。その一方で学校で不登校やいじめが増加し、時に自殺にまで追い込まれる生徒がいることも、よく知られている。何しろ、日本の自殺者が3万人超から1万人台(2019年の自殺者は1万9959人/警察庁)にまで減少する中で、十代の死因のトップは自殺であり、自殺の原因は学校問題が最多なのである(警察庁)。中高生が深刻な困り事を抱えていて、それが不登校やいじめ、時としてその先にある自殺にまで追い込まれてしまうという状況が生じていることは、多くの人が感じていることだと思う。
 2020年2月5日(水)、埼玉県飯能市の自由の森学園中学高校で行われた「当事者研究」というイベントは、そのような状況に一石を投じるものであった。講師として招かれたのは当事者研究の第一人者である、東京大学先端科学技術研究センター准教授の熊谷晋一郎氏である。参加者を巻き込んでのワークショップ形式の講義を通して、困り事のメカニズムを参加者みなで「研究」し、「困り事を生じさせるパターン」を見出し、「対処法をくふうする」という一連の方法が、当事者を支援するのに有効であることが示された。
 熊谷氏が強調したのは、「困り事に対してアドバイスはしない」「困り事を解決しようとしない」という二点である。
 困り事を抱えている当事者に対して、アドバイスもせず解決も目指さないで、支援するのだという。この不思議な当事者研究というワークについて、当日の実践例も紹介しながらルポしていきたい。なお、このイベントは、同校の高校3年生の課外体験授業「プロフェッショナルと会う」の一環として実現したもので、牽引役は高校3年生の阿部大地さんである。
(以上、本文から一部引用)


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