思春期の教育相談30[ズバリ答えます]

  ――保護者のあなた、間違えてはいませんか?

   (2021年6月新刊) 

   西田 隆男 著

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  ■書店販売書籍 : なし

  ■POD書籍 : \1,300 (消費税別)/(A5判変型172頁 ISBN978-4910056296)
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  ■電子書籍: \500 (消費税別)
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  思春期の成長プロセスで起こる、壮絶な身心の不安定さと変化、人に言えない悩みや問題をズバリ解決する本。






◎本書について
思春期……身体と精神が劇的に成長する10歳から30歳ほどの成長プロセスで起こる、壮絶といってよい身心の不安定さと変化、人に言えない悩みや問題に真正面から対峙してきた公認心理師の、思春期相談のズバリ解決本。「私ことイルカ博士は、40年間にわたってスクールカウンセラーとして、また公認心理師として3万人以上の方のご相談に耳を傾け、伴走してきました。その中から、よくご相談いただく内容のものを30項目選んで、文科省や厚労省のデータや見解もご紹介しながら、お答えを書かせていただきました」(本書「まえがき」から)というその中身は、性ホルモンの分泌によりそれが脳の神経細胞を活性化させ、人としての成長を促すというキレイ事の影で、子ども自信が内的にさらされるイライラや怒りはどこから来るか? 無鉄砲で衝動的な行動を起こさせる脳の側坐核、イライラや怒りを起こさせる扁桃体……この二つが活性化して起こる脳の暴走「バカヤロー!!」や「死ね!!」などの暴言や、限度をわきまえないで飲酒、急性アルコール中毒の問題。それらの背景による自殺は10代の死因の1位、そして事故死は2位。強い衝動性が関係してくる制御しにくい思春期の暴走と問題のよくある代表的な教育相談30項目の、具体的解決方法を教えてくれる書。本書で掲載した30の相談事例は、「イキイキと生きてほしい」「イキイキと生きていきたい」という著者の強い気持ちが込められた「思春期知恵袋」。


◎著者プロフィール
 西田隆男(にしだたかお):1954年東京都出身。心理学者。公認心理師、学校心理士スーパーバイザー。NPO法人埼玉ダルク理事長、一般社団法人無料塾ココロ理事。現在、地域での中学高校生への学習支援を中心に子ども応援と若者の居場所づくり、および相談業務(カウンセリング、コーチング)の活動をしている。
 専門:教育臨床、心理療法
 主な著書・訳書・論文:『ストレスを力に―セルフコーチング』(知玄舎刊)『思春期の教育相談』(同)、『現代の教育危機と総合人間学』(共著、総合人間学学会)『共依存―自己喪失の病』(共著、中央法規出版)、『JUST FOR TODAY―薬物依存症とはなにか』(編著、ダルク刊)、『当事者研究―新しい自己発見の方法』(編著、知玄舎刊)、『霊性の哲学』(訳書、知玄舎刊)『マインドフルな子育てのためのワークブック』(訳書、同)など。主な論文「思春期の生きづらさへの教育哲学的アプローチ」、「心理臨床から見えてくる思春期のメンタルヘルス」など多数。


目次

まえがき
第一章 家庭生活での相談
相談1――自慢だった息子が、中2になったとたん「うっせぇわ、ババア!!」と暴言を吐きます。「ババアとはなんだ!!」と言い返すと、部屋にこもってしまいます
相談2――掃除しているとき息子の部屋のベッドの下でポルノ雑誌を見つけました。知らん顔をしているべきか、捨てるべきか‥‥
相談3――中学生になったらスマホを買ってあげると娘と約束していたものの、マスコミのスマホ関連の事件報道は、スマホを持っていなければ起こらなかったものばかり。わざわざそんなアブナイモノを持たせる必要があるのでしょうか
◎スマホの使い方のルール作りを通して、親子で情報リテラシーを学ぶ
◇――コラム 【思春期のこころの発達要因】
相談4――日曜日は家族そろって朝食を取る、が我が家の長年の習慣です。ところが高校生になった息子は、休みの日は昼まで寝ていて、平気で家族を無視します
◎「時計遺伝子」のはたらきで一日の睡眠リズムができる
相談5――学校へ直行直帰の高校生の息子。早く帰ったからといって何をするでもなく、うちではダラダラ過ごしています。とにかく覇気がない。やりたいこともないし、夢も希望も持っていないと言います
◎親が子どもをどう認知するかで、子どもは変わる
◇――コラム【見落とされてきた、子どもと大人の狭間、思春期の研究】
相談6――家庭内別居の仮面夫婦です。思春期の娘への影響が心配です
◇――コラム【我慢強さはその人の性質ではなく脳のはたらき】
第二章 学校生活での相談
相談7――息子が中1になりました。友達関係はよいのですが、担任の先生と相性が悪く、小学校とのギャップで戸惑っています
相談8――不登校を自分の意思で選択した中2の娘。家でも楽しそうに過ごしていますが、将来を考えると不安です
◇――コラム【思春期の羽目を外した飲酒はどんどん減少している】
相談9 ――息子は中学で勉強を頑張り、みごと第一志望の高校に合格。喜び勇んで通い始めました。ところが半年たってもクラスで「ぼっち状態」が続いていて、心が折れそうだと言います。勉強への意欲も下がってきました
相談10――高校3年生の息子の親友が交通事故で突然亡くなりました。近所に住む幼なじみで、学校もずっと一緒でした。息子にどんな言葉をかけていいのか、わかりません
相談11――事務的な話ができるクラスメートはいるけど、親友ができない、気軽に話して笑い合える仲間がいない。「皆がうらやましい」と言う息子。皆がうらやましいということは、たいていの高校生に親友がいるということでしょうか。息子はどこか変わっているのでしょうか
◎「友達」は永遠ではなく賞味期限がある関係
◇――コラム【少年による刑法犯は年々減少している】
相談12――小学校で不登校になり、中学も入学式に行ったのみです。集団生活が苦手で学校に行けないようです。他に学ぶ方法はあるでしょうか
◎文科省が主宰したホームエディケーション報告会
第三章 進路相談
相談13――担任の先生が勧める高校には行きたくない、自分には行きたい学校がある、と息子が主張しています。先生は息子の希望する高校は学力的に無理だという見解です
相談14――高校を中退して引きこもっている息子が、大学に行きたいと言い始めました。高校中退で大学に行けますか
相談15――高3の娘が声優になると言い張っています。が、父親は大反対。「そんなものは遊びだ、食べていけるはずがない」と、険悪な関係です。落としどころを見つけたいのですが
◇――コラム【いじめの認知件数は年々増加しており、2019年には61万2496件に達している】
相談16――高1の息子が、高校に入学した最初のホームルームで、卒業後の進路を考え夏休みまでに書いて提出するようにと言われました。息子は「高校に入学したばかりなのに、そんな先のことはまだ考えてない」と戸惑っています。いくら何でも早すぎると思うのですが
第四章 行動癖についての相談
相談17――アメリカに1年留学していた息子が、どうも自室でドラッグをやっているようです。もし違法ドラッグだったら警察につかまってしまうのでしょうか
◇――コラム【石川県が始めた思春期の子どもをもつ保護者へのサポート】
相談18――高1の娘の左手首から肘にかけて、3センチくらいの切り傷が何本かあります。もしかしたら‥‥
相談19――高校生の息子がネットゲームにハマって昼夜逆転の生活をしています。学校も休みがちになってきました
◎依存の度合いを把握するチェックリストの活用
 ◇――コラム【WHOのゲーム障害の定義】
相談20――中高一貫校の女子校に通う高2の娘が、時々親の財布からお金を抜き取っているようです。現場を見たわけではありませんが、間違いないと思います。本人に言うと否定して逆ギレされました
相談21――高2の娘がすぐバレる明らかなウソをつきます。聞き流していますが、頻繁なので、追及すべきかどうか迷っています
第五章 こころ癖についての相談
相談22――まじめで、やる気もあるのに、中2の娘の成績がどんどん下がっていきます。「集中力が続かず、気が散って勉強を持続できない」と本人も困っている。来年は高校受験で何とかしなくてはと焦っています
◎スポーツ選手がスランプのときはマインドフルネス瞑想をしている
相談23――電車通学している娘が、先日、登校中に電車で立っていたら突然息苦しくなり、次の駅で途中下車しました。呼吸困難でしたがベンチに座って休んでいたら収まったので、そのまま登校しました。でも、いつまた苦しくなるか不安を抱えながら電車に乗っています
◎過呼吸になったときの対処法
相談24――息子の口癖は「死にたい」です。学校にも行っているし、生活も規則的で、これまで自殺未遂などしたことはありません。親から見るとなぜそういう言葉が出てくるのかわかりません
◎自分の内面をそっちのけにして、外側から多くの情報を取り込みすぎている
◇――コラム 【第二の臨界期をつくり出す】
相談25――中1の娘が、朝起きると「頭が痛い」「おなかが痛い」と訴えてきます。近くの小児科を受診しましたが異常なしでした
第六章 発達特性についての相談
相談26――中1の息子が集団生活になじめず、クラスでも部活でも友達ができません。乳幼児健診で発達障害を指摘されたことはないのですが、もしかしたらと心配です
相談27――高1の娘の感情の起伏が激しくて、毎日振り回されています
◇――コラム【思春期の脳は発展途上】
相談28――公立中学1年の娘が、最近マスコミで耳にするHSC(繊細な子)の特徴を持っているような気がします。担任の先生はいい生徒さんだと言ってくれますが、親から見るととても神経質で周囲のことを必要以上に気にします。思春期になりさらに気難しくなっています
◇コラム――【男性ホルモンの生涯変化】
相談29――もともとボーイッシュだった娘ですが、中2になって、とくに女の子らしい体の特徴に違和感を訴えるようになりました
相談30――娘は直感が異常に鋭くて、他者の身にこれから起こることや、初めて会った人の特徴などをズバズバ当てます。怖いくらいです
 あとがき
 


 
 まえがき
 
 思春期は年齢でいえば10歳から30歳くらいまでです。かつては20歳くらいまでといわれていましたが、最新の研究では30歳までを思春期としています。
 この時期、身体と精神が同時並行で劇的に成長します。「成長する」といえば響きはよいですが、成長のウラには必ず壮絶といってよい変化があり、それに支配されるように身体とこころがあたふたする。女の子は生理が始まり、男の子は精通が始まる。自分の持ち物である身体が勝手な変化を起こし、毎日が驚きと困惑の連続です。「なんだ、なんだ、なんだ。何が始まったんだ!!」という戸惑いのなかにいるのではないでしょうか。
 身体の変化に伴って、精神も不安定になります。
 思春期の身体の変化は性ホルモンの分泌によるものですが、その性ホルモンは脳にまで到達して脳の神経細胞を活性化させます。
 この「活性化」も、「成長する」と同様に響きのよい言葉です。でも、それにさらされている子どもは決してラクではない。なぜなら、このとき活性化される脳の部位は側坐核と扁桃体だからです。側坐核は無鉄砲で衝動的な行動を起こさせる部位であり、扁桃体はイライラや怒りを起こさせる部位です。この二つが活性化することで脳の暴走が起こり、「バカヤロー!!」や「死ね!!」などの暴言が口から飛び出したり、限度をわきまえないで酒を飲み急性アルコール中毒に陥ったりするのです。10代の死因の1位は自殺、2位は事故死です。どちらも強い衝動性が関係しています。衝動的な行動の背後では側坐核と扁桃体が活発に反応していると考えてよいでしょう。
 一方、大人の脳には、これほどの衝動性はありません。衝動が生じてもそれを制御する機能がある。抑制が利きます。
 この抑制という機能も実は脳のはたらきです。
 額の裏側に位置する脳の前頭前野という部位が抑制を司っています。よく「理性の脳」と呼ばれている部分です。思春期の脳はこの部分が未発達です(成熟していない)。そのため、側坐核と扁桃体の暴走を抑制するのが難しくて、ひどく乱暴な行動を取る。大人から見ると理解できない行動であり、「何を考えてるのかわからない」「この子はおかしいのではないか」といった心配が生じてしまう。扱いにくい。でも、そのときいちばん困っているのは当の本人です。
 その「問題行動」に大人がどう対応するかで、彼らの未来が方向づけられます。適切な対応をすることで、子どもたちは問題から学び、大人へと脱皮していきます。その反対に不適切な対応をしてしまうと、子どもの自己肯定感を損なってしまい、その後の人生にネガティブな影響を与えてしまうことになります。本書は、思春期の子どもの変化に右往左往している保護者の方に適切な対応を取っていただくことを目的として書きました。
 
 私ことイルカ博士は、40年間にわたってスクールカウンセラーとして、また公認心理師として3万人以上の方のご相談に耳を傾け、伴走(伴泳?)してきました。その中から、よくご相談いただく内容のものを30項目選んで、文科省や厚労省のデータや見解もご紹介しながら、お答えを書かせていただきました。個人の特定を避けるため背景や男女などの情報は改変していますが、その「問題行動」の核にあるものは外していません。
 いつも実感するのは、子どもの「問題行動」には、社会情勢が根っこの部分で影響しているということです。不登校のご相談が多いときは極端な学歴主義による子どもへの人権侵害と言っていいような強制があるような気がしますし、発達特性のご相談が目立つときは、お題目としての多様性はあるが実践はされていない、人々の中に差別意識があるままで多様性を唱えているという矛盾した社会を感じます。
 子どもは社会的弱者ですから、炭鉱のカナリヤのようにそうした社会の矛盾を敏感に感じ取って、ひどく居心地がわるいまま我慢している。それが閾値に達すると問題行動として噴出してしまうのではないか。
 
 「相談する」という行動には、勇気が必要です。
 子どもにとっては恥ずかしいという気持ちがあるでしょうし、保護者は子どもの「問題行動」に対峙しつつ、忙しい日々の時間を学校まで出向いての相談に割かなくてはならない。そうした行動を促すのは、「イキイキと生きてほしい」「イキイキと生きていきたい」という強い気持ちです。本書の30のご相談はいずれもそんな希求を抱いた相談者の方とともに行きついた「思春期知恵袋」です。
 読者の方のご参考になれば、これにすぎる喜びはありません。
 
公認心理師・西田隆男(イルカ博士)


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