日本語ライティング[I]

――IB論文指導者が教える[私家版]小論文・エッセイ・コメンタリー・本の書き方
  (2018年9月新刊) 

  永淵 閑 Kan S. Nagafuchi 著

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  ■電子書籍: \800 (消費税別)
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  ■POD書籍: \1,200 (消費税別)/(A5判142頁 ISBN978-4-907875-77-0)
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 ◎本書について
   IB論文教師が教える[私家版]日本語の書き方の集大成版第1冊。

 
本書は、IB(国際バカロレア)の基本ルールに則った小論文やエッセイ、コメンタリー(解説)の書き方、推敲を具体的な例文を駆使して教えているIB論文教師である著者が、[私家版]と銘打ち、日本語の書き方、ライティングの基礎的な集大成版を作成するため、過去に著者が出版した本からの引用・抜粋を含めて詳細に解説した文章作法の書。本書の2冊目では、本書を台にしてさらに発展した内容を予定。著者の大好評の既刊、『国際バカロレアと点才教育』、『IB国際バカロレア満点獲得教員の授業メモ 第1集』につづくIB論文の書き方を基準としている。小・中・高・大・院生・帰国子女生・IB生・海外留学生、中高教員・大学教員・IB教員・日本語教員、新聞記者・編集者・エッセイスト・小説家をめざす方に、必ず役立つ教科書。

著者紹介
永淵 閑(ながふち かん:Kan S. Nagafuchi)
教員略歴……オーストラリアのシドニー在住。東京生まれ、東京学芸大学卒業。主たる仕事はモノカキ。シドニーの大学でライティングを主にした日本語学科元教員。現在、IB授業をシドニーのハイスクールで受け持ち、さらに、オンラインで「閑塾」を主宰し、「IB組」、「文章組」、「出版組」の授業を開設している。教員・作家。


◎――――――目次

まえがき――人生を一編の詩にする
1章 ネコでもわかる「文章哲学」
1:ドイツ語は誰が書いても教科書になる――文章開眼
2:短文、易しい語彙、主語・述語の明示、適切な句読点――文章の基本
3:主題が明確、段落構成が論理的、個人的知見の明示――論文の基本
4:ネコでもわかる文章を書き、魂の琴線にふれる。――文章の基本哲学
付記――執筆の個人小史
1:すべては『インドを這う』からはじまった
2:本との出会いによって、人生を変えることがある
3:三年で一人の著者の本を集中読書する
4:本はわたしの外に出た脳
5:IB生の『高校生が書いた本』の出版で新門出
6:シドニー湾へ小石を投げ入れ、その波紋が土佐まで届いた
7:「ネコでもわかる文章」を書きつづけることで、「哲学する」ことの大切さを伝えたい
2章 ニホンゴ「文章文法」
【1】ライティングの基礎知識
1:作文と論文
2:伝統的論文書式と現代的論文書式
3:原稿用紙 Manuscript Paper
4:レポート・エッセイ・コメンタリー
【2】 論文の全体構成 
1:概要 Abstract
2:目次 Table of Contents
3:序論 Introduction
4:本論 Main Body
5:結論 Conclusion
6:註 Note
7:参考図書・文献 Bibliography
8:索引 Index
【3】 論文の段落構成
1:例文提示
2:リンキングワードとコネクティブワード Linking Word, Connective Word
3:トピックセンテンスTopic Sentence(中心文)と、サポーティングセンテンスSupporting Sentences (支持文)
4:キーワードKeyword
5:一つのパラグラフには一つ限定のトピック
6:パラグラフをつらぬく主題
7:パラグラフの最後の文章
【4】論文執筆上の注意事項 
1:剽窃・盗用 Plagiarism(プレイジアリズム)の文章
2:主題 Theme, Main Idea(テーマ・メインアイディア)のない文章
3:個人的知見(切り口)のない文章
4:「です・ます体」、「だ体」、「である体」混用の文章、および、口語使用の文章
5:文体の理解
6:句読点と、「は」と「が」
7:その他の気をつけなければならないこと
【5】論文執筆の進行
1:計画 Planning(プラニング)
2:調査 Research(リサーチ)
3:執筆 Writing(ライティング)
4:推敲 Elaboration(エラボレイション)
【6】IB論文試験と他の論文試験の差異――インターナショナル方式とローカル方式
1:IB論文ライティングの試験問題
2:外国人が日本語を勉強する教科書から
3:帰国子女小論文試験
4:大学入試センター国語試験
【7】論文ライティングのマトメ――Uni(大学)での日本語ライティング授業における筆者作成の使用プリントより
1:プリント1―――ライティングの基礎知識
2:プリント2――「論文執筆計画と、小論文試験での字数・時間配分と、評価基準」
3:プリント3――「論文の全体構成 Paper Structure」
4:プリント4――「小論文の構成の一例」、(テーマ型、文章型とも)
5:プリント5――「実例 Sample」
6:プリント6――「プラニング用紙 Planning paper」
7:プリント7――「リンキングワード Formal Writing Linking Words」
8:プリント8――「トピックセンテンス、サポーティングセンテンス、キーワード」
9:プリント9――「論文執筆の注意事項」(口頭・板書説明)
3章 見本原稿で文章を考える
1:最優秀コメンタリー:IB生:中村帆乃可――宮沢賢治著『どんぐりと山猫』 ドラフト 1-9 
2:Final Draft
3:IB生の執筆所感・保護者の読後所感――IB生中村帆乃可さんの執筆所感
4:IB教員の所感
4章 日本語論の「文章分析」
【1】鈴木孝夫著『閉ざされた言語・日本語の世界』(新潮選書 平成十年 三十八刷)
【2】鈴木孝夫著『ことばと文化』(岩波新書 1982年 第16刷)
5章 閑塾――「IB組」/「文章組」/「出版組」 オンラインクラス
【1】「IB組」――国際バカロレア 日本語A・DP 正規授業 オンラインクラス、External Class, Self-taught Class、補修クラス
1:主旨
2:基本理念
3:授業(SL)
4:目標
5:テキストア選定(ここではSLのみ)
6:問合せ・申込先
【2】「文章組」――小論文・エッセイ・コメンタリー 公的執筆 オンラインクラス
1:主旨
2:基本理念
3:対象
4:目標
5:授業
6:問合せ・申込先
7:付記
【3】「出版組」――文章力や構成力を養い自分の本を出版する オンラインクラス
1:主旨
2:基本理念
3:対象
4:目標
5:授業
6:問合せ・申込先
7:付記


まえがき――人生を一編の詩にする
  
筆者は、若いときは書くことが苦手だった。しかし、長い海外放浪の後に、機会があり、東京で日本語教員になった。そして、オーストラリアの大学で日本語を教えるという好機も得た。その間に、日本語については自己流で勉強をつづけた。あるとき筆者は、日本では小学校から大学まで、ライティングについては何も教わったことがないのに気がついた。いまでも覚えているのは、小学校の遠足の後で作文を書かせられたときの先生の言葉である。先生は、「作文とは、見たまま、思ったまま書けばよい」と言われた。それでは教育ではない。書き方を教えるのが教育である。だから、書き方を知らなかったのは当然である。泳ぎ方の基本を習わずに、プールで自己流に、下手くそに、泳いでいたのと同じである。苦手であったのは当然である。
  
それから、著名作家が書いた「文章読本」をはじめとして60冊ほどの(現在手元にあるだけで数えたらそれぐらいはある)文章論本を買って勉強した。しかし、書き方についての体系的な説明に出会うことはなかった。ほとんどが感覚・感性・感情の描写についてであった。美文とか悪文についてである。それは英語でいうところのエッセイ(=試論・小論文 後述)の執筆について役立つものではまったくなかった。英文で書かれたライティングの本、それも、フォーマル・ライティングについての本を買い込み、勉強した。そして、論理的に自分の考えや意見を伝えるためのライティングについて、すこしずつ理解した。英国では、その歴史上、人種・民族・文化・言語がちがう地球上のあらゆる地の人たちへ、いかに自国語(英語)を覚えさせ、間違いがないコミュニケーションをすることが、統治上必要であるかをよく理解していた。それが、英語におけるフォーマル・ライティングが発達した原因だろう。
  
筆者は、そうして勉強したライティングの基本を筆者なりに組みなおして、大学の授業や、国際バカロレア(IB)の授業や、帰国子女試験対策の授業で実践し、すこしずつ内容をみがいていった。その間に、気になる作家の本を集中的に読んだ。3年間ごとに一人の作家のエキスを吸収するという集中読書を現在まで続けている。そうして、エッセイと小説を主にした文章の基本を勉強した。さらに、筆者自身もエッセイや小説を書き続け、文章修行をしてきた。西洋でいうエッセイとは、日本でいう随筆とは違って、論文の一つであり、論文形式に則って書かねばならない。このエッセイとは試論・小論文と訳すのがよく、論文そのものである。基本的な論文執筆についての文章文法(これは筆者の造語)は、2章に簡明にまとめた。また、徹底的な添削を主にした文章指導授業の結果は3章で記した。
  
こういう勉強経過を通じて、筆者はいまだ勉強途中であり、初心者そのものであるが、後から学んでいる方々のために、筆者が学んだことがすこしでもお役に立てるならと考え、「K式 日本語ライティング」本の出版を考えた。「K式」とつけたのは個人的なレベルのものである、というおもいからであるが、この「K式」は最終的にはタイトルから省き「私家版 日本語ライティング」とした。そうして、未熟な内容であるが、世に問うことになったのが本書である。しかしながら、本書は「私家版」とタイトルをつけたように、第一の目的は筆者の勉強のためである。勉強途中のお恥ずかしい内容ながら、ここに公開する。本書は第Ⅰ巻であり、筆者の意欲としては、巻を積み重ねていき、ニホンジンの10歳以上の方なら、どなたでも容易に本にできるドラフトが書ける参考書を目指していきたいと考えている。ネコでも書ける日本語で本を書く、が目標である。
  
筆者の処女出版の『インドを這う』(立風書房)を読み、仕事を辞めてインドへ旅立ったという読者に、筆者はインド、スペイン、シドニーで計5人の方々に出会った。その感激が、一生、本にかかわる人生の出発点となった。いま、シドニーに住む筆者は、シドニー湾に小石を投げ入れ続けている。シドニー湾に投げ入れられた小石はちいさな波紋を浮かべる。そして、水に吸収されていく。しかしながら、その波紋は、シドニー湾より世界中の海にエネルギーとして伝わっていく。その成果がいろいろと返ってきている。筆者は、人生を一編の詩にしたいという想いがあり、小石を本や教育というカタチで投げ入れ続けている。それは、筆者なりの「人生を一編の詩にする」方法の一つの表現である。すこしでも読者の方々のタマシイの琴線にふれることができればうれしい限りである。


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