[異界見聞録10]火水家相 鬼門の秘密
――開運の法・艮の神 (2019年5月新刊)
素波 英彦 著
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■POD書籍: \1,900 (消費税別)/(B6判292頁 ISBN978-4-907875-95-4)
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◎本書について
鬼門とは何か? 迷信か、風評か、家相が伝承した鬼門の謎に迫った書。
・ | 今日、忘れ去れている伝承家相の意味を論理的に解析、さらにメタファーとして作用している鬼門の謎の解明を試みた書。「鬼門」という意識は平安時代ごろから日本人の深層意識に根深く伝承し、その影響は神社や寺院の建築造営、土地の仕切り方などとともに、広く住居の設計にまで及じます。今では単なる昔の迷信と片づける向きもあり、また建築や住居環境はここ数十年、画期的な変化を遂げており、かつての家相で問題とされたことが、論理的には意味がないことは確かです。伝承家相の大半は、意味が薄い迷信であると唱えたのは、建築家で家相家の、多田花外師でした。本書は、多田氏の家相説を太陽(火)と水回り(湿気・水)の問題に抽象し、現代で適切な家相のあり方を説明していますが、ただ一つ、どうしても論理的には解明できない問題をピックアップしました。それが「鬼門」です。鬼門は迷信かというと、そうとは言いきれない問題があり、それは日本人として生まれた限りは無視できない謎です。確かに鬼門に問題がある家には問題が多く発生します。建築や土地では、鬼門は守らないと安定した生活が得られません。そういう心の問題が、日本人の深層意識にあります。それはどこから来たものなのか? ところが、鬼門の常識を破った神社がありました。九州、高千穂の秋元神社です。この神社の御祭り神は「国常立尊」、記紀神話の独り神です。鬼門の問題は記紀神話の神にまで及び、さらに鬼門とは恐れるだけのものではないことが見えてきます。鬼門方位のエネルギーには意味がありました。使い方次第なのです。鬼門の秘密を知ると、神社の観方が変わります。 ◇POD書籍底本::『火水家相鬼門の秘密 Ⅰ巻・Ⅱ巻』1996年9月26日初版(Ⅰ巻Ⅱ巻共)、住宅新報社刊、[Ⅰ巻]ISBN978-4-7892-1914-3、[Ⅱ巻]ISBN978-4-7892-1847-4 |
◎著者紹介
素波英彦(すなみ えいひこ)
1949年埼玉県生まれ。専門出版社で雑誌・書籍の販売と編集を経験後出版社を起業。精神世界、クラシック音楽(モーツァルト)、医療と健康などの分野で執筆。著書に『火水家相鬼門の秘密Ⅰ・Ⅱ』住宅新報社刊)、『セアロの道 日本人ミャンマー僧侶―ガユーナ・セアロ*人の道の教え』(知玄舎)、編著として『家相がよくわかる吉と凶』、『憲法9条調べたら怖い』(知玄舎)などがある。
●目次
まえがき
多田花外師の帰幽と偉大なる遺産
前編──開運の法
第一章 方位と鬼門
──太陽と大地にヒトは何を見出したか
◎古代人はどのように方位を知ったか
◎太陽の道と方位
◎九畴井田法による方位
◎多田家相の原理は火(太陽)と水( 大地)
──鬼門はどのように伝承されてきたか
◎鬼門
◎日本の陰陽道と方忌み・物忌み
◎「鬼門」を恐れた日本の歴史
第二章 家相の伝承
──家相はどのように伝承されたか
◎水に関する処理と方位が重要だった昔の住居
◎迷信的家相の発展
──現代に叶う家相を蘇らせたのはだれか
◎多田家相の祖・杉野五堂師
◎杉野家相を継承した多田花外師
──多田家相は何を言おうとしたか
◎多田家相を集大成した『幸運を呼ぶ家相』の主張
◎多田説による家相の由来
◎多田家相説の精神的基盤となった友清歓真天行居宗主
第三章 鬼門と火水
──鬼門にはどんな問題があるか
◎住宅衛生としての観点による「鬼門」の問題
◎鬼門の制約
──鬼門と太陽はどんな関係にあるか
◎太陽の重要性
◎「出」はなぜ吉で「欠」はなぜ凶か
◎「鬼門」はなぜ通風が凶か
◎高温多湿の日本の風土との相対的関係
──家相と陰陽五行とはどんな関係があるか
◎五つの「気」
◎五行
◎十干
◎易の八卦と八方位・九領域
◎八卦の象意
◎多田家相における五行
◎火水家相の由来
──家相に「五大」原理はなぜ重要か
◎火と水の原理
◎「五大」とはなにか
◎地水火風空
第四章 五大と水
──〈水〉は五大をどのように生成流転するか
◎〈水〉の地大と水大の状態
◎火大と風大・熱と水蒸気
◎空大と気・エーテル
◎気・エーテルは「ニュートリノ」か
──「空大」に秘められた〈水〉の謎
◎〈水〉の極微細な世界
◎天上と地上と人を巡る〈水〉
◎五大と振動・波動
◎家相における「五大」の重要性
──〈水〉の特殊な役割とは何か
◎気分や雰囲気の違いの原因
◎気分や雰囲気と皮膚感覚
◎皮膚から蒸発する水分
◎「五大」の原理で万物に浸透する〈水〉
──家相において〈水〉はどんな意味を持つか
◎〈水〉は「気」を媒介する
◎最も単純な水素と酸素の分子
◎活性水
◎光パワーをも吸収する〈水〉
──自然における〈水〉とは何か
◎生活の中の〈水〉の不思議
◎土壌中の〈水〉と因縁の霊的波動
◎家相における〈水〉の五大法則
第五章 家相の観方
──家相判断には何が必要か
◎家相判断に必要なもの
──太陽時間と方位はどんな関係があるか
◎方位と時間
◎日本の明石時間による地方の太陽時間の正午
◎測定地点の太陽時間の正午で真北を調べる方法
◎真北と磁北
◎方位の決定
──八方位の中心はどう求めるか
◎家相判断の手順
◎建物の中心と方位線
◎「出」「欠」「出欠なし」の原則
◎中心と方位の原則
──敷地外の法とは何か
◎地形
◎敷地外の法
──敷地と道路の関係で気をつけることは何か
◎T字の道路と敷地の問題
◎道路と方向と建物の配置
──地勢や周辺の気になる問題はどうか
◎地勢
◎水場
◎湿気
◎気分や気配で知る方法
◎土地の霊的問題・古い地名の由来
──吉凶一覧表はどう使うか
◎吉凶一覧表
◎家相判断のポイントは「凶」を主眼に観ること
◎〈凶〉項目一覧表
──家相の六つの判断要素の注意点は何か
◎出
◎欠
◎通風
◎採光
◎出入口
◎水
◎その他の項目
第六章 吉家相の手引
──家相の観方のポイントはなにか
◎事例その一(鬼門と病門)
◎事例その二(変形敷地)
◎事例その三(複雑な形)
◎事例その四(吉相の小住宅)
◎事例その五(別棟の建物)
──家相開運・奥の手はあるか
◎事例その六(病門にかかってしまう庭)
◎事例その七(敷地外で道路とのアクセスを改善)
◎事例その八(敷地外で地形を改善)
◎事例その九(給排水管の経路)
◎事例その十(給排水管を敷地外とする)
◎事例その十一(敷地の変形と凸型「出」)
◎事例その十二(敷地外を活用する)
後編──艮の神
第七章 家相の謎
──論理で分からない家相の謎をどう解くか
◎家相における素朴な疑問
◎「鬼門」と敷地境界線
◎自然的条件以外の家相理論
──主観的認識による世界は何を語るか
◎私の世界という認識
◎主観的世界のマンダラの大きさ
◎主観的見方と客観的見方の違い
◎少年の頃の認識世界の大きさ
◎乳児の頃のぼんやりとした世界の大きさ
◎原初の世界認識
◎母親という最初の他人
◎主観的認識の世界のサイズは一つだけ
◎認識の成長とともに出現する自己世界に住んでいた他人
◎等身大の自分を認識する悲しさ
◎主観的世界の歪みという個性
◎他者に侵略された印象の主観的世界
──主観的世界の歪みはどう修復するか
◎暴力と権力
◎金銭と所有
◎線引きによる世界の再構築
◎「愛」と「寛容」という優れた方法論
──シンボル図形はどう家相に影響するか
◎失われた主観世界と家相
◎所有意識と家相の関係
◎シンボル図形と家相
──家相においてはなぜ矩形が吉相か
◎土地と建物のシンボル図形は正方形や矩形・方形
◎土地のシンボル図形と所有意識の関係
◎シンボル図形と家相吉凶の関係
◎四角形は大地のシンボル
◎四角形と「気」の力
◎「気のバリアー」を強く張る要素
第八章 家相と「気」
──家相にとって「気」とは何か
◎「気」とはなにか
◎風水と「気」
◎理想的土地の「気」の条件を示した「四神相応」
──「気」の秘密
◎「気」を自分で捉える
◎日本語に隠された「気」の秘密
◎生命の根本的力
◎自然の「気」と人の「気」
◎人の「気」とシュタイナーが捉えるオーラ
◎エーテルと「気」
──「気」は敷地の所有意識とどう関係するか
◎「気のバリアー」と「気のセンサー」
◎アストラル的「気」と土地の所有意識
──敷地外の法に「気」は作用するか
◎敷地外の法と「気のバリアー」
◎「気のバリアー」の法則
──「気」エネルギーの源泉は何か
◎天と地と人の「気」
◎中国系風水の龍脈と造山活動
◎北東方向に細長い地震多発地帯の日本列島
◎日本列島の方向と「気」の流れる方向
──鬼門は迷信や予言とどこが違うか
◎地震予知とギリシアのVAN法
◎一〇〇匹目のサル
◎臨界質量と霊的プログラム
◎進化に作用する一〇〇匹目のサル原理
◎現実を反射する霊的世界
◎霊的世界にプログラムされた「鬼門」
──大地の「気」とは何か
◎地底世界の電気
◎土地によるの不運はプラスイオンのせいか
◎土地の「気」を清める塩の力
◎塩という不思議な物質
◎炭の浄化力
◎〈水〉とイオン
◎自然界で起こるイオン化現象
──大地が含んだ〈水〉の役割は何か
◎土の中の電気
◎重要な土壌の中の〈水〉
◎大地の呼吸と〈水〉
◎良い「地の気」と悪い「地の気」
◎絶えず蒸発する「地の気」
◎鬼門と病門の「地の気」
第九章 鬼門伝承の謎
──「鬼門」文化はなぜ日本独自か
◎大和朝廷の成立の過程と鬼門の禁忌
◎古神道ブーム
◎超古代史の神々の世界
◎天地金乃神
◎艮の金神
◎金神伝説と鬼門
◎金神の正体
◎国常立大神=国常立尊=国之常立神
◎古事記、日本書紀にみる神々
第十章 国常立尊
──鬼門の秘密とは何か
◎艮坤・鬼門ライン
◎鬼門ラインの「気」の動きと金神の根源的男性原理
◎金神と金山比古神・金山比売神
──国常立尊の力の源泉とは何か
◎国常立尊の謎
◎根源的創造のパワーは破壊と革命の源泉
◎社会秩序を揺るがす根源的男性原理
◎神社の向きと方位
◎高千穂の秘境・鬼門を向いた秋元神社の謎
◎秋元神社の鬼門パワー
──鬼門の恐ろしさとは何か
◎鬼門ラインは霊的パワーの源泉か
◎艮の金神、国常立大神と鬼
◎鬼門という共同幻想
第十一章 開運の秘密
──家相のこんな問題にどう対処するか
◎鬼門の縦雨樋
◎鬼門の給排水路・配管
◎建築時期の吉凶
◎室内の配色の吉凶
◎アパート、マンションの家相の観方
◎店舗・事務所・倉庫・工場・大規模敷地等の家相の観方
◎建物を立体とした場合の家相の吉凶
──土地の霊的障害にどう対処するか
◎土地の霊的問題
◎土地の霊的障害
◎土地の霊的障害に効果のある清掃と塩の供養
◎産土神社、鎮守さま、氏神様を祀る神社を探す
◎産土神社(鎮守様)への参拝の方法
──鬼門の「凶」にどう対処するか
◎生活の基本、整理、整頓、清掃で鬼門の障りを防ぐ
◎鬼門を護る秋元神社の御札
あとがき
まえがき
長い歴史において伝承されてきたもののひとつに家相があります。家相が建築の体系の一部として独り歩きをするようになったのは江戸時代頃からと言われますが、日本の家相の原型はよく知られた風水で、平安時代ごろには家相の基礎ができあがっていたと思われます。家相でもっとも特徴ある言葉は、鬼門です。明治維新以降の西洋文明の大がかりな進出に耐え、大戦後のアメリカンドリームの席巻にもめげず、鬼門という不思議なイメージは日本人文化の根底で伝承されてきているのです。鬼門をはじめとするたくさんの日本の伝承を迷信として貶める考え方は存在します。が、完全に払拭できない澱のようなものが日本人の文化の根底に残ってしまうのです。それは過去の恐怖観念の残影でしょうか。多田家相の出現によって家相とは太陽と大地と建物、火と水の関係における鬼門の問題であることが洗い出されました。それは迷信とは言いがたい論理性を有していたのです。本書は、多田家相がもたらした新しい家相に則り、その理由の解明を試みたつもりです。「鬼門とはなにか」がテーマです。
あとがき
本書の家相は、故・多田花外師が遺された家相体系を多田家相研究会として継承したものです。本書中において、多田家相を検証するに及び古神道や五行、五大における「火」と「水」に還元できる原理が見て取れたため、火水(カミ)家相と新たに命名し本文の中で使い分けていますが、火水家相とは多田家相のことであり、原則として同じものです。
本書の執筆に当たり、秋元神社との神縁を取り持っていただきました神道家・龍天宙(秋元龍)氏、井村千鶴孝様、井村美佐子様にお礼申し上げます。また「気」に関するさまざまなお教えをいただきました風水気功研究家の鎌﨑倬寿氏、気功霊能者の未岳久典氏にお礼申し上げます。
本書の執筆中に思いもかけず多田師が帰幽されました。幽冥界の師の御霊に本書の出版のご報告と、これまでの御礼を述べさせていただきます。本書の出版に当たりましては、故・多田師のご遺族の方々に暖かなご理解と励ましをいただきました。多田行一様、多田勇様、弘田幸子様に心から感謝の意を表させていただきます。──平成八年九月
本書初版(底本)は、『Ⅰ・開運の法』と『Ⅱ・艮の神』の二分冊でしたが、復刊にあたり一冊に統合しました。一冊に統合するにあたり、『Ⅱ・艮の神』の最初の章「家相の観方入門」は内容が重複するために削除し、章番号は通しで変更しました。──令和元年五月
多田家相研究会 素波英彦