著作物の取説:WEB徹底利用マニュアル

   ――著作権法とベルヌ条約[パブリック・ドメイン/CCライセンス/コモンズ/

      フェアユース/地理院地図]編集・デザイナー必携 (2022年2月新刊)


   奈良野 英介 著
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  ■書店販売書籍:なし

  ■POD書籍: \1760 (税込)/(B6判232頁(カラー) ISBN978-4-910056-40-1
   2022年2月7日初版発行 →アマゾンでの購入はこちら

  ■電子書籍: \1320 (税込)
   2022年2月11日初版発行 →アマゾンでの購入はこちら

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 ◎本書について
  書籍・雑誌・ウェブデザイナーに今すぐに役に立つ、著作物利用の情報が満載の実用書。

本書は、書籍や雑誌、ウェブページやブログ等で必要となる、インターネットで確認できる優れた写真、絵画やデザイン性の高い著作物、地図データ等を利用する編集・デザイナーのための著作権利用マニュアル。著作権法の基本から「引用」によらず、保護期間中の優れた著作物を自由に(無断・無償)で利用できる方法、パブリック・ドメインやクリエイティブ・コモンズ・ライセンス・ウィキメディア・flickr、deviantART、Unsplash、国立国会図書館デジタルコレクション、Google地図、国土地理院などを紹介。ウィキペディア、文化庁、著作権情報センターなどの解説によって、著作権法の基本からベルヌ条約、世界各国の著作権法(米国著作権法)からフェアユースなどの法理も紹介し、具体的にどうすれば著作権侵害にならずに商用利用までもできるかを解説。書籍・雑誌・ウェブデザイナーに役に立つ、著作物利用の情報が満載の実用書。お断り:本書の著者は、一編集者であり、法律の専門家ではありません。著作物の利用は自己責任で行ってください。

◇著者について
奈良野 英介(ならの えいすけ)
 昭和24年埼玉県生まれ。男性。出版社にて雑誌、書籍の編集を経て独立。取材、撮影、執筆、DTPデザインなどマルチに活動する編集者、出版プロデューサー。著書:『[DTP]&[Epub3]現場で使える実践備忘録──神エディタ[Mery]で変わる[電子書籍]初心者のための[InDesing]作成の[肝]と[css]たたき上げ編集秘録』(知玄舎POD・電子書籍)。


●目次

第1章 ゾウが描いた風景画、チンパンジーが描いた抽象画は著作物か?
◎ゾウが描いた絵の著作権は?
◎『ゆめ花画集』の奥付から分かること
◎動物の描いた絵の著作物はパブリック・ドメイン?
◎ゾウやチンパンジーの絵に認められる?感情と創作性
◎抽象画を描く傾向が強いチンパンジー
◎チンパンジーの絵画オークション
第2章 著作権法の原理・原則――著作物の利用要件
◎知的財産権と著作権についての概要
◎著作権と著作財産権
◎著作権と著作物、著作人
◎二次的著作物と編集著作物 
◎著作権法の保護を受ける著作物の要件 
◎著作権保護の対象とならない、権利の目的とならない著作物
◎事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、著作権保護の対象外
◎著作物に該当しない事実の伝達や時事の報道についての新聞社側の考え方
◎事実報道のはずが、過剰に脚色・捏造された事件
◎二つの吉田事件――朝日新聞の虚報放置と謝罪
◎新聞の役割――事実報道とプロパガンダ(捏造注意)
◎新聞記事に望むのは、謙虚な事実報道
◎事実の伝達、時事の報道に該当する記事内容とは――報道写真は著作物
◎落書きアーティスト・バンクシー
◎落書きされた著作物の著作権
◎写真利用できるパブリック・アート
◎パブリック・アート写真利用のグレーゾーン
第3条 著作物が利用できる場合とできない場合
◎著作物の保護期間と利用制限の緩和
◎デジタル庁事務方トップ官僚が犯した写真素材の無断転載(著作権違反)とリプライ問題
◎著作物の利用について
◎著作権者不明等の場合の裁定制度
◎著作権者の許諾を得ることなく、著作物が自由に使える場合――文化庁の解説
◎著作物についての文化庁のウェブサイトの利用について
◎著作権センター(CRIC)の充実したウェブコンテンツの利用規約は?
◎著作物が自由に利用できる「引用」について
◎絵画(平面)を写真で再現した写真の著作物は保護されない?
◎彫像(立体物)を写真撮影した写真の著作物――弥勒菩薩像の写真の場合
◎写真に写り込んだ著作物の利用ができる場合――付随対象著作物の利用
第4章 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)の時代
◎インターネット時代の著作権ルール――著作者による作品の条件付き使用許諾表明
◎CCライセンスの種類と利用範囲
◎CCライセンスの世界での普及状況
◎flickrとCCライセンスの関係
◎flickrサイトでCCライセンス投稿作品を検索する方法 
◎ウィキペディアとウィキメディア・コモンズ
◎GNU Free Documentation License(GFDL:GNUフリー文書利用許諾契約書)
◎ウィキペディアがコンテンツのライセンスを移行したのは2009年
◎ウィキメディア・コモンズの利用方法
◎国会図書館より充実している名画等の宝庫=ウィキメディア・コモンズの寛容性
◎バンクシーのグラフィティ(ストリート・アート)で見るウィキメディアにおける作品利用の状況
◎パブリック・アート、岡本太郎作『太陽の塔』
◎deviantART:デヴィアントアート
◎Unsplash――CC0ライセンスは2017年6月以前まで?
◎Unsplashの独自ライセンス(2017年6月から)
◎Unsplash独自ライセンス化の背景(推測)
◎CCライセンスと互換性がないUnsplash独自ライセンスの問題点
◎国立国会図書館デジタルコレクション――保護期間満了・インターネット公開
第5章 パブリック・ドメインとベルヌ条約のポイント
◎著作者人格権と著作財産権――無方式主義
◎二つの著作権――著作者人格権と著作財産権
◎著作権消滅要件
◎パブリック・ドメインとは何か?
◎著作権の保護期間満了(70年)
◎世界各国の著作物保護期間の現状
◎ベルヌ条約は、国際的著作権保護の指針
◎保護期間50年以上――ベルヌ条約の大原則
◎無方式主義と内国民待遇~相互主義というベルヌ条約の原則
◎ベルヌ条約の原文の翻訳(保護期間他の要点)
第6章 アメリカの複雑な著作権事情とフェアユースとは
◎アメリカの特殊な著作権問題
◎ウルグアイラウンド協定法から分かる米国著作権法の問題と進展
◎米国著作権法の改正で著作権が回復
◎世界標準と違いがある米国著作権法の特徴
◎訴えられたGoogleブックス――Google裁判、フェアユースの争い
◎米国著作権法第107条――フェアユース
◎相互主義を採用しない米国著作権法の問題
◎ウィキペディア日本サイトで対応しているフェアユース法理
第7章 フェアユースのGoogleマップと身近に進化した国土地理院地図の利用方法
◎Google地図利用についてのガイドライン
◎原則として出展明記で使用できるGoogle地図の寛容性
◎ウェブでGoogleマップを使用するための共有とは
◎Googleマップ使用で違反が発覚した事例――地方自治体の粗末な判断
◎国土地理院の地図利用――利用手続改正で、ほとんど自由に使えるように
◎承認を得ずに使用できる国土地理院の地図条件
◎承認申請Q&A(国土地理院HPから)
◎Googleマップと国土地理院地図の表示比較


まえがき

 本書は、書籍や雑誌、ウェブページやブログ等で必要となる、インターネットで確認できる優れた写真、絵画やデザイン性の高い著作物、地図データ等を利用するために必要な、著作権法(ベルヌ条約)の基本知識を解説しています。それとともに、ウェブで公開されているそれらの知的財産の利用条件を正確に把握し、著作権侵害しない利用方法を提案しました。現場の編集・デザイナーに役立つ著作物の商用利用を念頭に置き、すぐに実用になるポイントを網羅し書き上げた著作物利用マニュアルです。
 まずは、著作物とは何かを知らなければなりません。著作権法では、著作物の利用に、「引用」と「転載」があります。前者は一定の条件の範囲で自由に著作物を利用できます。後者は著作権者の了解(利用対価の支払い)が必要となります。著作物の利用には、著作物が保護期間内にある場合は十分な注意が必要です。インターネットの時代になり、たくさんの著作物が国境の隔たりなく閲覧できるようになりました。海外の著作物の著作権はどうなっているのか? ウェブの世界ではデジタルコピーが簡単になりました。それだけに、自分のブログだからと安易に無断使用しているケースがたくさんあるようです。ブログは公開性があり私的使用の範囲ではありません。日本の著作権法の範囲で、海外の著作物を利用するとどういう扱いになるのか、すぐに答えることができる人はほとんどいません。Google地図はとっても便利ですが、その画像は合法的に利用できるのかどうか? 私的使用という著作権法の範囲から、公開性が高いホームページや書籍や雑誌での商用使用ができるまで範囲を広げると、著作物はどうすれば合法的に利用できるのか? 知っているようで曖昧な問題が山のようにありました。
 著作物を利用するなら、著作権者に了解を得、条件に見合う対価を支払うことで著作権侵害を回避できますが、実際に編集という仕事の流れでそんなことをするのは、時間的にも経済的にも大変になります。
 そこでとことん調べました。それによって、ウィキペディア、文化庁、著作権情報センター、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス、ウィキメディア・コモンズ、flickr、deviantART、Unsplash、国立国会図書館デジタルコレクション、Google地図、国土地理院……ウェブで閲覧できる無数のコンテンツ(写真、絵画、デザイン等画像著作物)が、著作権保護期間ではあったとしても、無断で無償で商用使用できる、著作権侵害とならない利用方法が浮き彫りになりました。
 その一つが、パブリック・ドメイン、そしてクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)です。国境のない著作物では海外の著作権法に知識も必要となります。ほとんどがベルヌ条約の加盟国で、日本では海外の著作物も国内法の規定を流用できます(内国民待遇)。が、要注意国がアメリカでした。そこにはフェアユースという法理での利用が必要になるのです。
 著作物の利用、一筋縄ではない、未解決なグレーゾーンもあり、けっして簡単ではありませんが、本書では、確実と判断できるものをご紹介したつもりです。門外漢の書き物です。誤り等がございましたら、ぜひご指摘いただければ幸いです。
 
◇お断り:本書は、著作権法という法律を解説し、ウェブから商用利用できる著作物を自由(無断・無償)に利用するための知識と情報を書いたものです。ただし著者は、法律の専門家ではありません。本書の活用については、読者ご自信が、法的内容、サイトの利用規約等を十分に確認の上、著作物の利用をお願いします。本書に起因するという理由で著作権侵害の問題が起こったとしても、著者及び版元は、いかなる責任も負いません。保護期間内の著作物の利用については、慎重にサイトの利用規約を確認し遵守するか、CCライセンスの規定に従って正しくご利用ください。
   令和4年2月春
奈良野英介


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