ヒューマンバリュー教育 教師のためのハンドブック
 
  ――教師の人生を意義のあるものにする最新の科学的知見に基づく教育法 (2017年12月新刊) 

  ロン・ファーマー Dr Ron Farmer 
  スワンティ・ファーマー Suwanti Farmer
 共著

   穂積由利子 訳

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   2017年12月16日初版発行 →アマゾンでの購入はこちら

  ■POD書籍: \2600 (消費税別)/(B5変形判一部カラー280頁 ISBN978-4-907875-43-5)
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 ◎本書について
 オーストラリアの学校で行われて有効な成果をあげている「マインドフルネス」という教育精神にもとづく教育法の書。

 
本書は、2015年にオーストラリアで刊行された“Handbook for Teachers in Human Values Education”の邦訳。「ヒューマンバリュー」とは普遍的な人間的価値を意味し、古今東西の人間教育の根本にある要素で、本書では、愛・真実・平安・正しい行い・非暴力について、子どもたちにどのようにこれを育成していくかを解説。この教育精神は「マインドフルネス」という方法。オーストラリアの学校での実践法だが、今この瞬間に意識を集中することで、気づきなどとも言われているもの。「マインドフルネス」は最新の認知行動療法やカバット・ジン博士によるストレス低減プログラムなどで実証されているものを教育の分野に応用。マインドフルネスによるヒューマンバリュー教育は、私たち現代人のウェルビーイング(健康と幸福)を増進することが多くの人に実感されていて、その科学的証拠(エビデンス)もある。世界最先端の最新の教育法を紹介した書。翻訳:穂積由利子、監修:日本ヒューマンエクセレンス アカデミー。

著者紹介
ロン・ファーマー(Ron Farmer, Ph.D):
 オーストラリアのクイーズランド大学にて心理学博士号取得(1970年)、その後、ニューサウスウエールズ大学で教鞭を取った後、カウンセリングの個人開業。クイーンズランド東南部に、ヒューマンバリュー教育を実践するトゥグラワ・スクールを創設し、学校運営のディレクターを務める。

スワンティ・ファーマー(Suwanti Farmer):
 ドイツのジョージ・オーガスト大学にて心理学修士号取得(1976年)、英国のビクトリア大学にて臨床心理学修士号取得(1980)、その後、ドイツ、英国、インドネシア、オーストラリアにてカウンセリングの個人開業。夫のロン博士と共にトゥグラワ・スクールの創設に携わる.現在、世界各地で、ヒューマンバリュー教育、マインドフルな育児法などのテーマで講演とワークショップを開いている。


◎――――――目次

謝辞
まえがき
Part1 ヒューマンバリュー教育の原理
第1章 ヒューマンバリュー教育とは
はじめに
ヒューマンバリュー教育
まとめ
第2章 バリュー教育の歴史と哲学
はじめに
知識に関する哲学とバリュー教育
バリュー(価値)教育の歴史
まとめ
第3章 5つの普遍的ヒューマンバリュー
はじめに
ヒューマンバリュー:愛
 深い次元の意味
 具体的な形
愛についての格言
ヒューマンバリュー:真理
 深い次元の意味
 具体的な形
真理についての格言
ヒューマンバリュー:平和/平安
 深い次元の意味
 具体的な形
平和、平安についての格言
ヒューマンバリュー:正しい行い
 深い次元の意味
 具体的な形
正しい行いについての格言
ヒューマンバリュー:非暴力
 深い次元の意味
 具体的な形
非暴力についての格言
ヒューマンバリューと人格
まとめ
Part 2 ヒューマンバリュー教育の実践
第4章 バリュー教育への取り組み
はじめに
人格教育―指示を与える教育
認知の発達―説明する教育
バリュー教育に対する包括的アプローチ
ヒューマンバリュー教育
まとめ
第5章 ヒューマンバリュー教育が効果を発揮するために必要なもの
はじめに
1.ヒューマンバリューを生きる教師たち
2.質の高い授業(クオリティ・ティーチング)
3.学校環境
4.奉仕学習
まとめ
第6章 ヒューマンバリュー教育の教育方針
はじめに
バリュー教育の方法:明示する方法と明示しない方法
ヒューマンバリュー教育における7つの教育方針とその技法
1.教育方針としての静寂の時間
2.教育方針としてのマインドフルネス
3.教育方針としての知恵の言葉
4.教育方針としてのストーリーテリング
5.教育方針としての「平和な心、開いたハート(ピースフル・マインド、オープン・ハート)」
 [自己認識]
 [自己制御]
 《内省:マインドフルに中心を見つける》
 《回復力/レジリエンス:マインドフルに中心を養う》
 《相互関係:マインドフルにバランスをとる》
6.教育方針としての奉仕学習
7.教育方針としての“宗教はひとつ”
まとめ
Part 3 ヒューマンバリュー教育における神経科学の役割
第7章 心(マインド)、脳、人間関係を定義する
はじめに
心(マインド)を定義する
脳とは何か
まとめ
第8章 脳、感情、学習
はじめに
脳と学習
脳、感情、学習
まとめ
第9章 ヒューマンバリュー教育における心臓と脳のつながり
はじめに
感情と心拍
心臓−脳のつながりとヒューマンバリュー教育
霊的ハート
まとめ
Part 4 ヒューマンバリュー教育とカリキュラム
第10章 ヒューマンバリュー教育におけるカリキュラム
はじめに
カリキュラムと、バリュー教育の教授法
ヒューマンバリュー教育におけるカリキュラム
まとめ
第11章 質の高いバリュー教育を行うために
はじめに
質の高いバリュー・カリキュラムを実現するために
まとめ
Part 5 教えるにあたってのマインドフルネス
第12章 マインドフルな状態とは
はじめに
マインドフルネスとは何か? どうやって養えばいいか?
マインドフルネスの効果
マインドフルネスにおける呼吸の普遍性
まとめ
第13章 マインドフルな指導:内側から教える
はじめに
マインドフルな教師――内なる火を解き放つ
変容(Transformation)
模範になる(Example)
一体性(ワンネス)を認識する(Awareness of Oneness)
文化を尊ぶ(Culture)
頭と手とハートの一致(Head, Hand ,Heart in Unity)
環境への配慮(Environment)
宗教はひとつ(Religion)
まとめ
第14章 ヒューマンバリューをマインドフルに教室に取り入れる
はじめに
ヒューマンバリューをマインドフルに教える
あなたの言葉(WORDS)を見張りなさい
あなたの行動(ACTION)を見張りなさい
あなたの思考(THOUGHTS)を見張りなさい
あなたの人格(CHARACTER)を見張りなさい
あなたのハート(Heart)を見張りなさい
まとめ
Part 6 ヒューマンバリュー教育がもたらす教師と生徒のウェルビーイング
第15章 生徒のウェルビーイングの本質
はじめに
バリュー教育と生徒のウェルビーイングに関する研究
PEPs(ポジティブな教育:Positive Education Practices)の5つの基本
まとめ
第16章 ヒューマンバリュー教育を通して教師のウェルビーイングを育む
はじめに
教師の役割
教師のウェルビーイングに影響をあたえるもの
所属意識を高める
強みを認識する
過ちを大切にする
教師のウェルビーイングを養う方法
自己認識(自己に対する気づき)
自己認識を発達させる方法
自己を制御する
自己制御の力を発達させる方法
まとめ
あとがき ― 教師の旅路
参考文献および参考図書


  
まえがき
  
 ヒューマンバリュー教育は、サティヤ・サイババの教育哲学であるエデュケアをルーツとし、加えてバリュー(価値)教育や人格教育、神経科学、心理学などの分野から最新の知見を取り入れて、生徒、教師、保護者、地域社会に変容をもたらし、心からお互いを気遣い合う社会と市民を作るための授業モデル、学習モデルを提供することを目指しています。
  
 質の高い教育のためには、人間の全ての徳を含んでいる、愛、真理、平安/平和、正しい行い、非暴力という普遍的ヒューマンバリューを教えることが必須であることは、現実の証拠が世界中で次々と報告されている現状から明らかです。バリュー教育が、勤勉さ、学業成績、生徒と教師のウェルビーイングを向上させ、思考能力を高め、地域社会への関わりを促すことは研究から明らかになっています。またそれだけではなく、子どもたちが独自の人間性を開花させて人間として卓越することを可能にする環境をつくるという、教育本来の目標を実現することも実証されています。子供達は自らの教育を、社会に奉仕する人生にするための準備として捉えるようになるのです。
  
 ヒューマンバリュー教育は、教師たち自身が、子ども達のために絶え間なく自己変容に励み、謙虚で生徒を鼓舞する良き人格の手本となることこそが、人類滅亡へと向かう現代の文化を、慈悲と調和と常識、そして環境への配慮ある新しい世界へと方向転換させる変化の触媒になると確信しています。
  
 多様な信仰と多様な文化を取り入れているヒューマンバリュー教育は、子どもたちの思考や行動を一定の枠にはめようとするものではありません。そうではなく、燃えるという性質が木の中に隠れているように、子どもたちの内面に隠れている人
間の善、美、愛、英知を表に引き出すものです。ヒューマンバリュー教育における教師の役割は、子どもの生得の権利である平和な心と開かれたハートが表に出てくるように、自らが燃え盛る薪となって、全ての人々に点火することです。
  
 本書はヒューマンバリュー教育の紹介であると同時に、バリュー教育に関する研究の現状を紹介し、さらに、ここ数年内に起きると考えられていることを知っていただくためのものです。ただし私たち著者は、この分野の権威ではありません。実際、教育の歴史を考える時、人格教育の父であるジョン・デューイをさえもはるかに超える教育改革者の巨人が、何人もいます。彼らは、効果的なバリュー教育・人格教育を構成する重要な要素は何かについて、数多くの発見を私たちに残してくれました。
  
 本書では、彼らが残した資料の中から厳選して紹介します。これらは読者に可能性を感じさせてくれると同時に、最初の道標となるでしょう。
  
 私たち著者は、今、地球全体に広がる不安な社会状況と経済危機の予感という暗闇の中で、人類が、新しい教育の必要性に気づきつつあると感じています。その教育は、現在の暗闇を光で照らす教育、生徒が立派に成長して、良い変化をもたらす光の運び手となる教育です。
 本書を手に取られた方が、若者たちのために、教育に革命を起こす一つの力になってくださることを願ってやみません。


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