志が育てる社長的思考と人生 ......[これから20年のロードマップ2]
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田村 文重 著 四六判276頁 2003年11月1日初版発行 定価1,680円(税込)
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「社長の生き方・楽しみ方」(知玄舎)に続く、ロードマップシリーズ第二弾。前著の「社長的思考」を形作るために必要な「志」について解説。後半は「経営」がテーマ。といってもビジネスにとどまらず、「力を尽くして物事を営むこと」という本来の「経営」の意味に立ち返り、人生を捉え直します。
ISBN4-434-03786-2 C0034 \1600E
【著者略歴】
田村 文重(Tamura Fumishige)
1952年 大阪生れ。
1974年 関西大学法学部卒業。
1977年 アーサーアンダーセン会計事務所入社、人事部長、情報通信企画部長(ISS)を歴任。
1989年 日本ヒューレット・パッカード鞄社(当時、横河ヒューレットパッカード梶j。
1994年 ヒューレット・パッカード社(シンガポール)の現地駐在にて、国際提携業務に従事。
1997年 同社を退社、シンガポールにて、Kaze Corpora‐tion Pte Ltdを設立。経営コンサルティングに従事。
2000年 経営の傍ら、RMIT(オーストラリア)経営大学院にて国際経営学を専攻し、MBA(経営学修士)を取得(在シンガポール)。
2001年2月より シンガポール日本語ラジオ放送番組「ビジネスパイロット」(FM96.3)でパーソナリティーを務めている。
2002年10月より 日本で、BSデジタルラジオ放送のBSC301ch(ビー・エス・コミュニケーションズ)とラジオたんぱで放送している番組「社長の生き方・楽しみ方−社長になった人、なりたい人のためのラジオ指南書−」で、パーソナリティーを務めている。
現 在:在日本半導体事業会社アジア地域アドバイザー
日本ナレッジマネジメント学会員
Singapore Institute of Management会員
Dr.Foo Check Teck(孫子研究)日本市場代表
在シンガポール 先端テクノロジー事業会社日本市場アドバイザー
著 書:『社長の生き方・楽しみ方』(知玄舎)
『超社長術』、『実践社長思考プロセス』(共に、英治出版)
連絡先:kazecorp@singnet.com.sg
URL:http//www.kazecorp.com (日本語可)
はじめに
前作『社長の生き方・楽しみ方』を出版して数か月で、20年のロードマップシリーズ第二弾『志が育てる社長的思考と人生』を、世に出す運びになりました。本来なら、もう少し時間をかけて第一作を世に問うべきなのです。しかし、時代の変革期には、非常にゆっくりとした動きの潮流と、オセロゲームで黒が一気に白に変わるような変化が相入り乱れて、我々を翻弄してくれます。そんな時だからこそ、羅針盤をしっかり持って、進む方向を明確にしていく必要があるのでしょう。そこで、その羅針盤ともいうべき内容を、緊急に提案する必然を強く感じ、今回の出版となりました。
前作では、すべてにおいて社長的思考を持つことを提案しました。そしてその思考を支えるには、「こころ」「あそび」「かんがえる(仕事)」が三角形の関係になるようにとも提案しました。しかし、どのようにして、全く何もない所から三角形の関係を組み上げていくのかについては、触れませんでした。それは、しばらく皆さんで考えてもらう時間を取っていたからです。孫子研究の大家であるフー博士も、新しい思考は、しばらく寝かせて、自分の一部となるまで、自分の中で自問自答する時期が必要だと提言しています。
本書は、三角形の関係を持てるようにするためには、「志」が必要だとして、理論の中核に置きました。志が、どのように生まれてくるのか。「こころ」「あそび」「かんがえる」をどのようにコントロールして、上手く組み合わせていくのか。さらに、想いを形にして実現していくと、三角形の関係とがどうかかわるか。あるいは、背骨、ベーシック・フォー(ミッション、ビジョン、ストラトジー、タクティクス)、キーワード・アプローチ、シードの具体的な役割。それをどうやって育てるのか、また志との関係にまで言及しています。さらに、志が、生き方をどのようにリードしていくのかへも展開しています。そのために、新しい組み合わせの呼び方なども登場します。
実際のビジネスや、人生は、飛び越してはいけません。日々の結果が積み重なってくるのです。そのなかで、背骨以下のいろいろな技術や、志などをどのように日常に取り入れて、使っていくと、どんなことができるようになるのかを説明しています。
さて、後半は、経営に絞っていきます。「力を尽くして物事を営むこと」という経営の側面から人生を捉え直していきます。経営イコールビジネス(金儲け)ではないところにこそ、20年のロードマップの秘訣が隠されています。経営は、ビジネスの関係者の独占物ではありません。広く人生の中に染み渡っています。それを会社という枠で見ていくと、どうなるかについての議論が、いわゆる経営論であるだけなのです。まして、社会や、個人とのつながり、自然とのつながりまでその影響が波及していくのなら、当然新たな見方が、あってしかるべきなのです。その意味で、社長をもう一度見詰め直して、人生の計を立て直してみることも提案しました。これから、何かをしていきたいとの想いを持つ全ての人たちにとって、じっくり取り組んでみるべき課題です。
2003年8月時点で、GDPや株式市場がすこし上向きかけたことで明るい日差しが見えてきたとする考えがあります。10年前のバブル崩壊後にも同じような時期がありました。そして、今まで引き締めてきたことをゆるめてしまい、結果的には、長いトンネルに入ってしまいました。今度もそうならないとはいえません。そうならないためにはどうするかを考えるには、何か今までとは違う経営のありようを志向しないではいられません。
また、「飴と鞭」方式の人事管理に基づいた経営ではなく、一方的な成果主義でもなく、社員があるがままに振る舞って結果の出せる環境を整備することこそを目標に、軸足を移していく試みが行われていくべきではないでしょうか? 会社の知を創り出してくれる社員を、家畜のように取り扱って、もはや立ち行く会社はありません。そのこと自体に自己矛盾をはらみ、市場から消えていくでしょう。現実の安全をコストと考えている事件が優良企業と言われている所で、頻発しています。財務の手法が現場に及んできている兆候です。モノ作りの現場は、常に危険と隣り合わせであります。それを、財務という一点だけで捉えてしまうことに新たな問題を抱えている兆候が見られます。
2003年10月より1年の予定で、日経ラジオ社(前日本短波放送)で「田村文重の社長の寺子屋」の放送が始まりました。ラジオたんぱ第一では毎週火曜日朝7時15分から、BSC301では毎週土曜日朝7時15分からの15分番組です。前番組同様、フリーアナウンサーの原りつ子さんやスタッフの皆さんには、助言をいただきました。
今回も、名前は挙げられませんが、20〜30代の人たちへの取材、聞き取りなど色々お世話になりました。海外での情報収集や構成の発想など助言をいただきました。この紙面を借りて、お礼申し上げます。シリーズ化していくためには、今後ともご協力をお願いします。ワンネスの旅は続きます。
知玄舎の森宏巳編集長には、前作同様、表現へのアドバイスや、構成への助言をいただきました。
最後に、気ままな取材や、執筆に集中させてくれた妻の英子に感謝します。
2003年8月 輝きを増したシンガポールにて
田村 文重
●目次
はじめに 1
第1部 想いが変える!
第1章 すべては、想いに始まり、想いに行き着く!
ワンネス ONENESS 16
凜(りん)として生きる(凜モデル) 20
「こころ」 23
◆こころの薬袋1◆DREAM 26
第2部 想いを形にする
第2章 想い、形、志
想い 31
形 34
志 37
◆こころの薬袋2◆CREATION 42
第3章 志
志と「こころ」 46
志と「あそび」 55
志と「かんがえる」(仕事) 62
志は、変換・交流のかなめ! 68
◆こころの薬袋3◆ENERGY 71
第4章 志プロセス
志の生成過程 73
志の生成過程・感性 75
志プロセス・5ステップ 90
再び、志プロセス 108
◆こころの薬袋4◆WILL 110
第5章 志は、生き方の中でさらに大きくなる
凜として生きる(三位一体)凜モデル 113
粋に生きる(四位一体)粋モデル 117
ワンネスに生きる(七位一体)縁モデル 122
◆こころの薬袋5◆PASSION 125
第3部 想いはビジネスの大海・人生の大海へと!
第6章 社長的思考
なぜ、これからの20年は、今までと違ってくるのか? 130
これからの20年は、誰が中心になっていくのでしょうか? 145
社長的思考とは? 148
◆こころの薬袋6◆THINK 152
第7章 日頃の積み重ねが、ビジネスで、人生で開花する
背骨 157
ベーシック・フォー 171
キーワード・アプローチ 197
シード 203
社長という切り口 206
社長思考プロセス 210
◆こころの薬袋7◆DAY LIFE 212
第4部 経営と生き方
第8章 経営
社長 218
経営と「志」 221
経営と「こころ」 227
経営と「あそび」 235
経営と「かんがえる」 241
再び、経営 250
経営とワンネスモデル(縁モデル) 252
経営と人生の計 258
孫子の戦略 262
壮大なあそび 266
ONENESS(ワンネス) 269
◆こころの薬袋8◆MISSION 272
あとがき 274
あとがき
書き出す前までは、緊張感。書いている途中は、焦燥感。終わってみれば、脱力感。ただ、本になってみると、達成感。事業に携る時と似ていませんか? 今忙しいのは、第1巻の英語版を2004年3月に刊行する予定だからです。日本語と勝手が違います。しかし、何とか日本のこころとあそびを理解してもらいたいと、がんばっています。英語で、上手く伝えられるように走り回っています。世界で、同じようにロードマップを必要としている人たちに、この三角形からはじまるいろいろな生き方、考え方を使ってもらいたいとの想いです。特に人生の計とその関連には、シンガポール南洋工科大学のフー博士に、監修をお願いしています。
もちろんこの本も、2004年6月には、英語版にしていきたいと企画しています。
ところで、この本を刊行した達成感だけに浸っていられません。世の中は、いろいろな新しい形相を迎えてきています。第3巻は、少し、新しい物理の世界などからの情報も交えて、世の中がどう変わっていきつつあるのか、そして、それは何なのか? 現在20〜30代が迎える将来の20〜30代とはどのような接点を求めていけるのか、当面の10年は、上には、「9時5時マインド」、下には、「携帯電話・仮想現実」世代に挟まれてどのように自分たちの道を見出していくのかを解き明かしていきたいと思います。「経営と人生」をもっと突き詰めていけるようになるでしょう。
また、今まであまり詳しく触れていませんが、「かんがえる」について新しい取り組みを企画しています。
時代の変革時は惑わされるいろいろな現象が見られます。それらに引っ張られるのではなく、しっかり歴史の証人となる意志を持ってしっかり取り組んでください。ワンネスへの旅は、まだ続きます。