『お米革命・Rice Revolution』−−日本の食材が世界を変える 

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  山口慶一著(群馬製粉社長)著  176ページ 2008年10月19日初版発行 定価1,680円(税込)
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ここまで来た、驚異の米粉技術が日本の輸入依存食料危機を救う!
パン・ケーキ・パスタ・ラーメン……自給率の高いお米からできる時代

世界を変える7つの食材
奇跡の「J麺」、和菓子極まる「白月」、グルテンフリー「お米パン」、ファンタスティック「リ・ファリーヌ」、本物の珈琲「カフェリーヌ」、お米食感「リ・スフレ」、超天然「甘夏パウダー」

 
 ISBN978-4-434-12403-7 C2077 \1600E 

単価 : \1,680 (消費税込み)  購入する/数量 :    
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山口 慶一(やまぐち けいいち)
 1963年群馬県渋川市生まれ。
 日本大学農獣医学部食品経済学科卒。
 日本大学大学院農学研究科卒。
 大学時代に稲作と気象との関係を主題として研究を進め、東京大学農学部の金沢夏樹教授に師事。米についての研究に没頭。
 その後、家業である群馬製粉株式会社に取締役開発部長として勤務。現在、取締役社長として、お米を中心にした日本の新しいオリジナル食材を世界に発信し、注目を集めている。

群馬製粉株式会社
 本社/工場 〒377-0008 群馬県渋川市渋川1183 tel.0279-22-3302(代)
 東京支店 〒114-0004 東京都北区堀船2-10-12 tel.03-3914-1371(代)


目次

プロローグ 世界を変える7つの食材

奇跡の「J麺」 6
和菓子極まる「白月」 10
グルテンフリー「お米パン」 14
ファンタスティック「リ・ファリーヌ」 16
本物の珈琲「カフェリーヌ」 22
お米食感「リ・スフレ」 26
超天然「甘夏パウダー・etc.」 27
食材革命の核「新・米粉」 30

はじめに 33

第1章 「J麺」誕生に沸き上がる歓声

平成20年4月、「ファベックス2008」で、国産米100%「J麺」を発表 46
21世紀の食のパラダイムシフト 50
大学の「知」と企業の「技」の融合 51
白月−21世紀の和菓子素材革命、蒸す必要のない米の粉 54

第2章 ついに「お米パン」が開発される

平成11年8月、「洋菓子の世界に米粉を普及させる」プロジェク発足 58
パンづくりに「(小麦粉からできた)グルテンが不可欠」は、業界の常識 59
グルテンの入った「お米パン」は、平成8年に開発され特許取得されていた 60
発泡スチロールの製造過程から、グルテンを加えない〈お米パン〉のヒントを掴む 61
米の消費量減少に歯止めをかけ、小麦アレルギーを防ぐために 62

第3章 世界一のパティシエの協力で〈リ・ファリーヌ〉誕生

    「お米からケーキ」に切り換えて、辻口博啓氏の協力を得る
これはというパン職人、洋菓子職人100人以上を訪問した 66
世界一のパティシエ辻口博啓氏が、協力を約束してくれた 67

    「お米からケーキ」の開発に成功
米粉がパンに不向きとされていた3つの理由 69
〈リ・ファリーヌ〉は、ケーキの材料として、小麦粉よりも優れている 70
もち米を特殊加工して、さらに〈リ・ファリーヌ レジェール〉を開発 74

    世界一のパティシエ辻口博啓氏
辻口氏も和菓子屋の「三代目」 77
「僕がずっと抱いてきたテーマと群馬製粉さんのテクノロジーが掛け合わされて」 78
辻口シェフの〈リ・ファリーヌ〉を使ったケーキ 80

第4章 珈琲豆の驚異的微粒粉技術で実現した〈カフェリーヌ〉
  
「コーヒーの香りをそのまま残した粉の開発はできないか」と、辻口氏が提案 82
日本にコーヒーが紹介されたのは、南蛮貿易がはじまったころ 83
石臼の原理と最先端技術を融合させ、驚異的なコーヒー豆の微粒粉製造に成功 85
珈琲豆をまるごと微粒粉化した〈カフェリーヌ〉は、味、香りとも、飲むコーヒー以上  86
〈カフェリーヌ〉により、本物のティラミスを 89
こんなにもあるカフェリーヌの種類 89

第5章  製菓素材に第3の衝撃・ 〈リ・スフレ〉と〈甘夏パウダー〉

コメの食感を100%引き出した〈リ・スフレ〉誕生 94
〈リ・スフレ〉を使ったお菓子 96
日本の夏の色と香りをまるごと微粉末にした「甘夏パウダー」 97
甘夏みかん果汁、果実よりも、ポリフェノールを豊富に含んでいる 97
ポリフェノールは、果皮に多く含まれている 98
甘夏パウダーの3つの特徴 99

第6章 水の恵みにこだわって米粉一筋に60年、三大素材革命その後に

祖父がこだわった水の恵み 102
父が貫いた上新粉への頑固なこだわり 106
世界一のシェフと21世紀の食の革命 107

第7章 日本人とお米

稲はどうやって育つか 116 
収穫された稲が、お米になるまで 116
赤い米、黒い米もある 118
日本人が初めて目にしたお米は? 119
お米の単位「石」とは 120
お米を炊くと、何倍くらいのご飯になるのか 121
タンパク質にビタミンミネラル、ごはん一杯の驚きの栄養価 123
生活習慣病を改善し食料自給率をアップさせるごはん中心の食生活のすすめ 126
ごはん(精白米)のおいしい炊き方研究 128
昭和の初め頃まで、北海道や秋田では、ほとんど生産されていなかった 132
もち米(糯・糯米・餅米)、うるち米(うるち、うるち米、粳)、酒米(さかまい、さかごめ) 140
お米いろいろ、おいしさいろいろ、分づき米、胚芽米、無洗米 142
特殊なお米のバリエーション 144
レトルト、チルド、冷凍から缶詰まで、豊富なお米の加工品 146
今注目されている雑穀とお米の一口知識 148
石高制のルーツと1300年前から使われていた「斗」「升」「合」という単位 150
人が1年間に食べるお米を収穫するのに必要な水田の広さは? 151

第8章 お米の粉

日本のお菓子のルーツは、遣唐使が持ち帰った唐菓子と、留学僧が持ち帰った禅家の点心 154
小麦でつくられた南蛮菓子、そのほとんどを米粉でつくることができる 155
米穀粉は平成に入ってから、素材革命ともいえる歴史的な大転換、大発展をしている 157
お米の粉の種類と特性と主な製品 159
「J麺」は粘り成分やデンプンを調整し、お米の粒子そのものを均一に超微粒粉砕した米粉 162
和菓子の原料、米粉の種類と特徴 164
小麦粉の小史、栄養成分、種類と用途 166
製粉技術は、長らく臼挽き後、機械化 168
製粉方法の進化に関する私のメモ 169
20世紀のチキンラーメン、21世紀の米粉製品、そして、さらに…… 171

あとがき 172
2015年の衝撃−食料パニックに備える 174


まえがき

 「米粉は、このままではお米とともに衰微していくばかりだ。和菓子だけでなく洋菓子の世界にも、お米の粉を普及させることができないものか……」
 そのように父の山口幹夫社長(現会長)に言われ、社内に私を入れて3人の洋菓子開発プロジェクトが発足したのは、平成11年8月ことでした。
 私たち3人の小さなプロジェクトは、まずは米粉でのパンづくりだと、数百回以上もさまざまな方法で〈お米パン〉づくりを試みました。しかし、どのようにしてもうまくいかなかったので、ターゲットを洋菓子に変えました。
 そうして、日本全国で100人を超えるパティシエにお目にかかり、辻口博啓氏との運命的な出会いにより、平成15(2003)年4月に、洋菓子をつくることのできる米粉〈リ・ファリーヌ〉の開発に成功しました。
 それからは、ココアパウダー状の珈琲豆〈カフェリーヌ〉、クッキーやチョコレートに使用できる加工焙煎米〈リ・スフレ〉、〈甘夏パウダー〉〈みかんパウダー〉、もち米を微粒粉にした〈リ・ファリーヌ レジェール〉、生のケーキの形をそこなわず丸ごとフリーズドライ化した全く新しい1年間日持ちする新しいお菓子〈コスモスイーツ〉、〈レモンパウダー〉〈桃パウダー〉〈りんごパウダー〉と、まさに次から次へといった感じで、米粉をもとにした新商品および新素材開発に成功しました。
 わずか3年6ヶ月で、これらすべて辻口博啓氏とともに開発したわけですから、まさに嵐のような開発の日々であり、この間ずうっと無我夢中で、どのようにして開発したのか思い出せないほどです。
 それだけではありません。翌平成19年3月には、静岡文化芸術大学の米屋武文教授、杢屋食品株式会社・杢屋公一会長、辻口博啓氏と共同で、米の麺である「J麺」の開発にも成功し、米粉でできたパスタやラーメンなどの製品開発も順調に進みました。それまでの米粉の常識を破る蒸す必要のない〈白月〉を開発したのも、この年です。
 振り返れば、米粉の新分野を開拓し始めて8年、洋菓子をつくることのできる米粉〈リ・ファリーヌ〉の開発に成功してから、わずか4年でここまでくることができたわけです。
 −中略−
 長寿の日本人を支えてきたのは、エネルギーひかえめで栄養のバランスのよいごはん食であったことは、間違いありません。ごはんは、粒で食べるため、腹もちがよく、肥りにくい食べ物です。コレステロールや塩分を含まず、昧も淡白なので、大豆製品、野菜、海草、きのこ、魚介類などの食材ともよく合います。ビタミン、ミネラル、食物繊維、からだと脳を活性化させるたんばく質やIPA(イコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)などもたくさん含んでいます。
 ごはんだと、自然に焼き魚、煮物、酢の物、おひたし、みそ汁など、あっさりとしたおかずになるので、油脂類を自然にひかえることができます。
 ごはんは、こんなにもすぐれた食べ物であるにもかかわらず、日本人1人当たりの米の消費量は、毎年落ち続けています。2400年ものあいだ食べ続けてきたので、食べ飽きたのなら、お米を原料とするパンやパスタ、ケーキやピザ、ラーメンやギョーザを食べてもらえばいいじゃないか。そのことが、必ず日本人の健康に大きくプラスになるはずだ。そう私は考えたのです。
 米粉で、パンやパスタ、ケーキやピザ、ラーメンやギョーザをつくることができることが分かり、さらに数多くのメーカーさんに製品を開発していただき、驚くほど消費が増えはじめているいま、米粉による新しい分野を開拓することができて、ほんとうによかったと、あらためて思っています。
 平成11年8月からの激動の9年間、私たちは多くの人に支えられ、助けられ、知恵をいただき、ここまでやってくることができました。
 日本のお米のため、日本人の健康のため、これからも頑張って新商品の開発を行っていきますので、どうかよろしくお願いいたします。


あとがき

 −前略−
 なお、本書の刊行にあたって感謝しなければならない方々がいます。「モンサンクレール」の辻口博啓氏は、私より4歳年下ですが、精神年齢は私よりも10歳以上は年上であり、彼がいなかったら現在の私はありません。仕事、プライベートを超えて、私の人生の恩師です。彼の力があったからこそ、お米のケーキやパンがあたりまえになり、日本国中に短期間で浸透したのです。改めて感謝申し上げます。
 静岡文化芸術大学の米屋武文教授との出会いも、大きな転機となりました。先生との出会いがなければ、ケーキなどの嗜好品から主食の麺をつくるということなど思いもよらなかったと思われます。仕事以外にもいろいろな面でお世話になり、本当に感謝いたしております。
 そして、杢屋食品の杢屋公一会長は、年齢的にも私の父に近く、本当に私のわがままを聞き入れ、よくここまでお付き合いしてくださったと非常に感謝しております。杢屋会長がいなければ、J麺は生まれていませんでした。
 新潟県の長谷川商店の長谷川尋紀君には、ほぼ毎日のように新潟のお米の産直状況を、電話で情報提供していただきました。それと同時に、いろいろな意味で精神的な支えになってくださり、深く感謝しております。
 最後になりますが、プライベートな私のわがままを聞き入れ、自由な行動を許してくださった群馬製粉株式会社の山口幹夫会長、および群馬製粉に勤務する全社員およびこれまで貢献してくださった方々に、心から感謝申しあげ、筆をおかせていただきます。
 山口 慶一



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