●こころとからだの モーツァルトセラピー [癒しと気づき…音の処方箋]
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篠原佳年著 四六判上製本220頁 2002年4月27日初版発行 定価1,680円(税込)
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聴覚セラピーの知られざる効果、モーツァルトの音楽が身体面・精神面に及ぼす影響力を、医学博士の立場から明らかにし、その応用(セラピー)について解説した書。
★ご注意/本書は初版発行日から数年以上が経過しており、本書の一部(例…219ページに掲載の各地のセンターの活動およびそれに関する記述の本文部分等)は、
現在の実態と異なっておりますこと、ご了承ください。
ISBN4-434-01612-1 C0030 \1600E
●本書の趣旨
30万部のベストセラー『快癒力』の著者(医学博士)が、これまで医療と並行して研究を重ねてきた聴覚セラピーについての成果を明らかにした書。聴覚が人間の成長において、他のどんな感覚器官よりも優先的に作用しているかを著してきた著者が、さらに進んで、聴覚分析による音に対する気づきが、心身の活性化、人間関係の健善化、社会的コミュニケーションの改善、人間意識の向上にまで影響することを示し、聴覚セラピーの社会的な役割を問う。その普及のために著者は、聴覚カウンセラー協会(4月NPO認可予定)を設立し、本書で聴覚の資格制度まで提案している。
●著者略歴
篠原 佳年(しのはら よしとし)
1950年大分県生まれ。岡山大学医学部大学院卒業後、岡山大学医学部第三内科を経て、医療法人しのはら医院を開設。院長としてアトピー性皮膚炎および膠原病(主に慢性関節リウマチ)を中心に治療を行う傍ら、視覚、聴覚、および東洋医療を使ってのさまざまな病気や障害を治す研究をしている。現在、聴覚カウンセラー協会を設立し、NPO認可申請中。聴覚セラピーの普及を全国に展開し、21世紀のアウェアネスのために多数の講演もこなす。聴覚カウンセラー協会会長、モーツァルトセラピー研究所所長、快癒塾塾長、医学博士。
著書に『音の子育て』(知玄舎)、『モーツァルト療法』『絶対モーツァルト法』『絶対成功力』(マガジンハウス)、『幸福力』(PHP研究所)、『快癒力』『快癒力2』(サンマーク出版)、『治癒力創造』(主婦の友)、『意識の扉をあけて』(七賢出版)、『魔法のくすり箱』『ファンタジックゴルフ』(コボリ出版)、『いつでも今がいちばん幸福』(竹内書房新社)、『生死同源』『あなたには快癒力がある』(幻冬舎)、『人生50歳脱皮論』(講談社)など。
はじめに
聴覚セラピーをはじめて数年が経過しました。これまで、たくさんの人の聴覚をチェックし、その結果が性格や生き方によく現れるということを見てきました。耳の聴覚は、そのときの生き方の縮図だったのです。ですから、リスニングチェックによるリスニングマップ(聴覚図)を見れば、心理傾向から体調、生き方、人生観まで検討がつくようになりました。耳に気づくということは、ほんとうにすごいことなんだと、つぐづく感じている今日このごろなのです。
ある日、聴覚セラピーを受けるために来られた方のリンニングチェックの結果を見ながら、わたしがカウンセリングをしたときのことです。
この方は、立派な青年だったのですが、重い引きこもりで生きる意欲を失い、とても暗い印象でした。たしかに言語耳は左であるうえに左のリスニング曲線は消極性そのものだったのです。が、わたしは、ふと言語耳としては使っていない右耳のリスニング曲線を見て驚きました。何とこの方の右耳の曲線は、理想曲線に近いものでした。言語耳として使っている左耳とはまったく異なる耳を持っていたのです。
そこでわたし言いました。
「あなたのいまは使っていない右耳は、神様の耳ですよ」
するといままでずっとうつむき加減で精彩がまったくなかったその方の目が、突然光を放ったかのように輝き、こう言いました。
「先生、いま、何とおっしゃいました?」
「あなたは神様の耳をもっておられますよ」
この方は、神様ということばに突然魂が動いたのかもしれません。自分のなかに神様と同じものがあるということに、自信のようなものが湧き出したのでしょう。それからというもの、聴覚セラピーを積極的に受けるようになり、追加プログラムまでこなしました。こうしていまでは、社会で活躍する意欲でいっぱいの見違えるような好青年になりました。この方の耳は、左右の聴覚特性がまったく異なる特殊なものでした。左右の耳が違いすぎるというのは、よいことではありません。二つの耳は、二つの性格を意味するからです。しかしこの方の充分には使っていなかった右耳は、理想曲線に近い優れたものだったのです。理想曲線のことを、神様の耳などといいます。それでわたしは彼にそう言ったわけです。そのことが、こうして開始された聴覚トレーニングによって、引きこもりの性格を改善するとともに、神様の耳を活性化することになったのでしょう。そのことを裏付けるものが、その方がトレーニング前と最中と終了時に描いた三枚の絵(第二章で紹介します)であり、リスニングマップだったのです。
聴覚セラピーで行う耳のトレーニング方法は、ひとつだけではありません。さまざまなものがあります。理論もまた多様です。とくに最近、少しずつ理論も技術も新しいものが確認されつつあります。わたしはこれからも、リスニングチェックや絵画分析で、さまざまな聴覚のアイデアを研究していくつもりです。なぜなら、聴覚を正常に活性化することでさまざまなストレスやトラウマ、引きこもりや学習障害、健康障害や老化現象などなどを、楽しく苦痛なく改善できることが分かったからです。このようなすばらしいシステムと理論は、よりたくさんの人々に利用していただくために、広く社会に普及させるべきものです。
そのために、わたしは新たにモーツァルトセラピー研究所を設立するとともに、すでに活動を開始して実績をあげている聴覚カウンセラー協会のNPO認定を申請しました。これによって、人の幸せに寄与する聴覚への気づきのチャンスを、より広く公平にご提供できるようになれば幸いです。
本書では、リスニングチェックと絵画分析についての基本を中心に解説しました。まずはここから、聴覚の新しい時代を切り開くきっかけとなることを祈ります。
目 次
◆ 第一章 耳の深層に響くイルカの鳴き声・超高音
イルカのクラウンと魂の交流をしたジャック・マイヨール博士…8
英語を聞き取れるようになる耳の療法…10
耳を振り出しに戻せば、トラウマは消えるか?…12
心理療法でトラウマを治すには…15
トラウマは記憶に根を降ろしている…16
筋肉反応でアクセスするスリーインワン・キネシオロジー…20
トラウマの原因が永遠に見つからなくなることもある…22
背中に背負えるだけの荷物を背負ったわたし…24
耳のトレーニングは医療に応用できる?…26
アタマではなく「耳」が悪いということ…28
聴力はトレーニングすることができる…30
トレーニングで鍛えることができる耳…32
やり直すことができる耳という感覚器官…33
自閉症は「耳」閉症だった…36
耳は胎児や乳児が社会に通じるこころの窓…38
聞こえても聴かない自閉症の耳…40
耳だけを深層意識まで振り出しに戻す方法を自分で試す…41
海からやってきた生命進化の痕跡が刻まれた耳の構造…44
胎児が聞いているのは水中(羊水)の音…46
イルカが自閉症の子供を治す…48
イルカのコミュニケーションとヒーリング能力…51
イルカの水中世界と八〇〇〇ヘルツ超の音世界…54
イルカの鳴き声は胎内で聞く母のしゃべる声?…57
聴覚セラピーで必要な水中音の再現…61
八〇〇〇ヘルツ超の音は耳を胎内の時代の振り出しに戻す…63
◆ 第二章 聴覚セラピーのための絵画分析
絵は無意識の深層・こころの裏側の窓…66
アルカンジェリさんの絵…68
Aさんの絵…70
Bさんの絵…72
Cさんの絵…76
Dさんの絵…79
香川由美加さんの絵…84
絵で分かる自分を知るための心理テスト…86
描かれた絵のキャンバスが示す意味…88
樹木を描くことで分かる深層意識=バウムテスト…92
胎内回帰プロセスで描かれる絵…96
音声誕生プロセスで描かれる絵…99
聴覚セラピーのカルテの例…101
◆ 第三章 耳に現れた心と身体=リスニング曲線の分析
視力検査をするように耳の検査が行われないのは…116
あなたの「空耳度」をチェックすると…119
こんな症状があったら要注意=耳の自己診断…121
聴力検査とは違うリスニングチェックの仕方…123
リスニングマップ(聴覚図)の見方…125
リスニング曲線の三つのプロトタイプ…126
[クリエイティブ曲線=メンタル・芸術的・分裂的曲線]…128
[ロジック曲線=コミュニケーション・技術的・執着的曲線]…130
[ボディー曲線=行動的・肉体的曲線]…130
リスニング曲線の対象的な二つのタイプ(フラットと理想曲線)…131
[フラット曲線=無関心曲線(水平曲線)]…131
[理想曲線=モーツァルトの曲線(お釈迦様の涅槃像のような曲線)]…133
エアー曲線は社会との、ボーン曲線は自分自身との関係…135
リスニング曲線の三つの周波数ゾーンの特徴…137
[ボディゾーン=低音域(一二五〜一〇〇〇ヘルツ)]…138
[ロジックゾーン=中音域(一〇〇〇〜三〇〇〇ヘルツ)]…138
[クリエイティブゾーン=高音域(三〇〇〇〜八〇〇〇ヘルツ)]…138
エアー曲線とボーン曲線のチェックでエラーがあったとき…139
音の聞き分けチェックでわかるストレス耳…142
左右の耳のバランスが大事な言語耳…147
リスニングチェック・リスニングマップの実際例…151
[アルカンジェリさんの曲線]…151
[Aさんの曲線]…151
[Bさんの曲線]…155
[Cさんの曲線]…158
[Dさんの曲線]…160
[香川由美加さんの曲線]…162
◆ 第四章 聴覚セラピーが社会に貢献できること
耳が変わると「こころ」も変わる…168
耳への気づきは自分自身とアクセスすること…170
難聴を改善する超高音のエネルギー・シャワー…175
耳の教育システム=胎児から幼児・児童教育まで…177
集中力を養い学習力を高める効果…181
スポーツ能力もアップするかぎは耳…182
耳のトレーニングで防止できる老化…185
聴覚セラピーの三つの特徴…189
[一、聴覚が変わると人生が変わる]…189
[二、高周波音は脳を活性化する]…191
[三、耳のストレスで体のストレスが分かる]…193
◆ 第五章 モーツァルトセラピーへの新ステージ
モーツァルトの音楽を愛した聴覚セラピーの先駆者…196
耳と言語の四つの要素…199
気づきの聴覚セラピーに必要な開かれた専門家たち…202
聴覚アドバイザー・アナリスト・カウンセラーの育成…203
NPOとしての聴覚カウンセラー協会の意味…206
聴覚アナリストの役割…207
聴覚における気づきの意味…209
気づきのモーツァルトセラピー…211
モーツァルトセラピー研究所からの出発…213
あとがき
本書を執筆中の二〇〇一年十二月もおしせまった年の瀬のことでした。わたしは本書の内容に深い関わりがある二人の偉大なる人物の訃報に、ほぼ同時に接しました。そのひとりが、わたしが聴覚セラピーにおいて前人未到の発見と独創的理論を展開したアルフレッド・トマティス博士であり、もうひとりは、本書導入のイルカ療法の関係で紹介した、ジャック・マイヨール博士だったのです。この偉大なる二人の人物は、まったく別世界で活躍されましたが、不思議なことに、二人ともフランス人であり、精神世界に深い関心を寄せるとともに、万物の母といわれる海に深い関わりのある業績を残しました。わたしは、二人の訃報に接し、偉人のご逝去につつしんで哀悼の意を捧げるとともに、あたらしい時代が動きだしたことを、切に感じた次第です。
わたしは、このような偉大な人々の業績からたくさんのことを学びました。これからは、彼らの偉大なる発見と教えの成果を、広く人々に伝えなければならない使命を感じています。
本書は、当初、一九九九年六月にPHP研究所から出版した『奇跡の聴覚セラピー』が在庫切れとなりましたので、その内容を継承する本として出版する予定でしたが、再版に際して出版社を変更し、前著の聴覚セラピーとしてのすぐれた成果はそのままお伝えし、これに新しい展開とテーマを盛り込むこととしました。そのため、一部を除き新しい内容に生まれかわりました。
本書を改訂するに際しましては、参考文献として、アルフレッド・トマティス著『モーツァルトを科学する』(日本実業出版社刊)、『人間はみな語学の天才である』(アルク刊)、ジャック・マイヨール著、関邦博編・訳『イルカと、海へ還る日』(講談社刊)、自著『モーツァルト療法』『絶対モーツァルト法』(共にマガジンハウス刊)、『音の子育て』(知玄舎刊)などを使用しました。内容の変更等につきましては、コボリ出版・知玄舎の小堀英一さんにお世話になりました。御礼申し上げます。
いま、わたしは、聴覚セラピーの新しいステージを求めて、その端緒につきました。すでに活動している聴覚カンウセラー協会はもうすぐNPOの認可となる予定であり、あらたに医療の一環としてモーツァルトセラピー研究所を設けるとともに、療法の実施機関として従来のリスニングセンターをモーツァルトセラピーセンターと改称したところです。わたしはいま、あらゆることに自分の耳を開こうと思っています。どうかみなさん、聴覚の新しいステージにご参加ください。そこで、もっと自分自身の声を聴いて、気づいて、感じてください。こんどはみなさんと、モーツァルトセラピーセンターでお会いしましょう。ともに開かれた耳とこころと意識を持ち寄り、ほんもののコミュニケーション社会を実現し、そのことを共に楽しめたら幸いです。