●ダルクの日々 (2018年10月19日、新訂POD書籍・電子書籍発売
(2013年12月25日初版は在庫切れとなりました)
―薬物依存者たちの生活と人生(ライフ)
ダルク研究会 編著
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POD書籍:A5判334頁 2018年10月19日初版発行 定価(本体2,020円+税)
ISBN978-4-907875-79-4 発行:知玄舎
ご購入はアマゾン・三省堂等(一般書店では取扱いがございません)
電子書籍:同時発売(主要な電子書店サイト)
※書店書籍初版は在庫切れ
四六判382頁 2013年12月25日初版発行 定価(本体2,000円+税)
ISBN978-4-434-18700-1 C3030 \2000E 発行:知玄舎/発売:星雲社
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薬物依存者がいかに依存症と闘い必至に生きて回復に至ったか、そのすさまじい生きざまをインタビューした14名の貴重な証言集。
★日本図書館協会選定図書(第2893回、週刊読書人2014年3月21日)
★週刊読書人(2014年4月11日)に紹介記事→ココ
薬物依存者がどのように依存症と闘い回復へ向けて必至に生きているか、そのすさまじい生きざまを、インタビューによってレポートしてまとめた貴重な報告書。「細いレールの上を歩いているひとの道が大通りとなるように、細いレールから落ちてしまったひとはレールに戻れるように。」多様で複雑な「回復」の道を歩み続ける、薬物依存者14名のライフヒストリー集。薬物依存者の回復の今日の情況を、薬物依存で用いられる特殊な用語の解説などを包め、薬物依存者の回復の情況が、体験者の生の声を通じて具体的に様々な角度から知ることができる充実した本。
[編著者について]
「ダルク研究会」メンバー(編著者)一覧
南保輔(成城大学文芸学部)
平井秀幸(四天王寺大学人文社会学部)
中村英代(日本大学文理学部)
森一平(帝京大学教育学部)
伊藤秀樹(東京学芸大学教育学部)
相良翔(埼玉県立大学保健医療福祉学部)
山下麻実(元東京大学大学院教育学研究科)
まえがき(抜粋)
この本を手にとっていただいた読者の中には、「ダルク」についてよく知っているという人も、その逆に「ダルク」という名前を聞いたことがないという人もいるだろう。「ダルク(DARC)」はDrug Addiction Rehabilitation Centerの略で、薬物依存当事者たちが最低数か月にわたる長期の共同生活を送る中で、依存からの「回復」をめざす民間リハビリテーション施設である。スタッフもほぼ全員が「回復」途上の薬物依存の当事者であり、過去にダルクに入所していた経験をもつ者も多いことから、当事者中心の「自助(セルフヘルプ)」的な施設と呼ばれることも多い。1日3回の「ミーティング」と呼ばれるプログラム、一般的には「犯罪」としてのイメージの強い薬物使用を「病気」と捉える視点、アメリカで生まれたAA(Alcoholics Anonymous)やNA(Narcotics Anonymous)などのセルフヘルプ・グループとの結びつきなど、そのユニークな性格を挙げていくときりがないほどだ。そんなわけで、ダルクは現在では薬物依存の「回復」支援という枠を越えて、ひろく「『当事者』運動」や「問題を抱える人たちへの『支援』」といった文脈で注目を集める存在になっている。当初は東京に1か所しかなかったダルクも、現在では全国に60か所以上が存在するまでになった。
本書は、そんなダルクで生活する(していた)14名の薬物依存者たちの「語り」を集めた書である。「語り」といっても、ダルクメンバーがしゃべったこと全てを収録しているわけでも、しゃべったとおりに収録しているわけでもない。本書の各章は、ダルク研究会によるダルクメンバーへのインタビュー記録を文字に起こし、さらに一定の観点から一般読者でも読みやすいように編集を加えたものである。本書に登場するダルクメンバーは、都市部に存在するXダルクとYダルクという2つのダルクのメンバーたちだ。かれらへのインタビューは、2011年6月から現在まで、原則として研究会メンバーがかれらをダルクに訪ねるかたちで継続的に実施されている。さらに、編集済みの「語り」は、月1回開催されるダルク研究会の打ち合わせの場でおよそ半年間にわたって徹底した議論に付され、研究会メンバーの手によって何度も何度も点検・修正を受けた。できあがった「語り」はダルクメンバー本人やダルクスタッフによって最終的なチェックを受け、そこで了解が得られたものが本書に収録されている。(平井秀幸)
目次
ダルクの日々 薬物依存者たちの生活と人生
まえがき
【凡例】
序 章 薬物依存からの「回復」をどう理解するか
第Ⅰ部 薬物依存者たちの「生活」
第1章 「生きかた」を変える
Aさん(男性/40代前半/覚せい剤・咳止め薬)
第2章 薬池肉林の日々から徒然クリーンへ
Bさん( 男性/60代前半/覚せい剤)
第3章 気づきを与えてくれた覚せい剤
Cさん(男性/60代前半/覚せい剤)
第4章 就職・退寮・入院
Dさん(男性/30代前半/覚せい剤)
第5章 スタッフのストレスと喜び
Eさん(男性/40代前半/アルコール・咳止め薬)
第6章 「今日一日」を積み重ねて
Fさん(男性/40代前半/覚せい剤・アルコール)
第7章 誰も支援してくれなかったじゃないか
Gさん(男性/20代前半/覚せい剤・アルコール)
第8章 ミーティングで話せない
Hさん(男性/40代前半/咳止め薬・鎮静剤・ギャンブル)
第9章 クスリをやめる気はなかった
Iさん(男性/20代後半/覚せい剤・睡眠薬)
第Ⅱ部 薬物依存者たちの「人生」
第10章 入寮3日目からずっとクリーン
Jさん(男性/30代後半/咳止め薬)
第11章 ダルクにいれば安心
Kさん(男性/60代前半/覚せい剤)
第12章 「空虚」の解消
Lさん(男性/40代前半/アルコール・覚せい剤・睡眠薬)
第13章 スイッチを入れるための覚せい剤
Mさん(男性/30代前半/覚せい剤)
第14章 ただ生きているだけ
Nさん(男性/50台前半/咳止め薬)
【用語解説】
あとがき
再版によせて
あとがき(抜粋)
本研究の遂行にあたっては、2010~2012年度科学研究費補助金基盤研究 (C)22530566「ダルクにおける薬物依存からの『回復』経験のエスノグラフィ」(代表:南 保輔)の助成を受けた。本書の出版にあたっては、「平成25年度成城大学科学研究費助成事業等間接経費による研究支援プロジェクト」の「研究成果の公表(出版等助成)支援」を受けた。また、東京ダルク支援センターにご支援とご協力をいただいた。記して謝意を表したい。
そして、共著者であり、われわれダルク研究会のメンバーに協力して、お話を聞かせてくださったXダルクとYダルクのみなさんに大いなる感謝の気持ちを表したい。2年あまりの期間に、多いひとでは14回にわたり時間を割いてご協力いただいた。
ミーティングで話すことは「回復」プログラムの重要な部分を占めている。しかしそれだけでなく、われわれのような外部の人間と話すこともまた「回復」に資するであろうと、ダルクスタッフのみなさんは考えているようであった。そうだとして、人生や経験の一部をわれわれと分かちもったということが、みなさんの「回復」に少しでも役立っているのであれば誠に幸いである。(南保輔)
再版によせて
幸いなことに,再版の運びとなりました。ページのつくりが変更となっていますが,内容は執筆者の所属情報を2018年10月時点のものにあらためたほかは初版のままです。薬物依存者のライフをさらに多くのみなさんに知ってもらうこと,それが著者一同の願いです。
続編にあたる『当事者が支援する−薬物依存からの回復 ダルクの日々パート2−』が今年2月に春風社から出ました。ダルクスタッフ11人のライフヒストリー集です。こちらもご愛読いただけると幸いです。
2018年10月 南 保輔
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