文章表現のためのワークブック (2009年4月新刊)     

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  西田みどり 著(文学博士)  B5判 112頁  2009年4月8日初版発行 定価:840円(税込)
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 説得力のある文章表現を生み出す、効果的なスキルを紹介したテキストブック。
 文章の型、情報と思考を整理するマッピング技法、要約の裏ワザ、
 日本語の基礎知識と文章の約束事などを解説。
 常用漢字一覧表付き



 ISBN978-4-434-13111-0 C3081 \800E

単価 : \840 (消費税込み)  購入する/数量 :    
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■目 次

   まえがき 3

第1章 文章には「型」がある
   T 書き始める前に――心得10カ条 6
   U 出だし(導入部)の書き方 6
   V 読み手を説得してみよう 11 
   W 具体例で書く 13
   X 「事実」と「意見」を見分ける 15
   Y 「事実」と「意見」で書く 18
   Z 「一つには、二つには」で書く 21
   [ 「比較」で書く 23
   \  もっとうまくなるために 26 

第2章 マッピングから書く
   T  情報整理と創造 30
   U 文章を書くためのマッピング 34
   V 文章読解のためのマッピング 45

第3章 レポートの型と適した言葉づかい
   T レポートの種類 52
   U レポートの型 52
   V レポート例 54
   W レポートや公共の印刷物に適した表現 56

第4章 要約文作成の裏ワザ
   T 要約の手順 60
   U 要約文の条件 61

第5章 日本語の基礎知識
   T 日本語の特徴 72
   U 日本語の発音 74
   V 日本語の文字と表記 75
   Y 公の文書で使用されている表記 76
   X 段落 82
   Y 句読点と語順 85
   Z 敬語の仕組み 87
   [ 差別語はどうするか 90

   引用・参考文献 93
   常用漢字一覧表 94
   あとがき 108


●著者プロフィール

 西田 みどり

 専門は文章論、近代日本比較文化史。文学博士。2006年、「『まこと』と『救世主』―久米邦武の比較文化論」で中外日報社・涙骨賞受賞。現在は芝浦工業大学及び大正大学非常勤講師、エディター。主たる著書に『脳トレ文章講座』(知玄舎)、『抱きしめる聖者アマチの奇蹟』(徳間書店)、『聖母アマチの教え―ヴェーダの叡智』(知玄舎/改題新版)、『偉人・天才たちの食卓』(徳間書店)、『サイババ超体験』(同)、『今日と明日のへき地医療』(講談社/共著)、『日本近代化の比較文化的研究』(大正大学比較文化研究所/共著)など。


 まえがき

 日本文化は型の文化であるとよく言われるが、歌舞伎や文楽、能、狂言、茶道や華道、そして書道といずれも型があり、初心者はまずその型をマスターすることから練習を始める。型を完全に身につけたのちにようやく個性というものが表現されていく。型とは、いうまでもなく最も効率的に技法を身につけることができる方法であり、先達の知恵の集積である。
 文章にも、これほどはっきりしたものではないが型がある。代表的なものが手紙文で、季節の挨拶から始まり、先方のご機嫌を伺ったあと本題に入って最後に今後ともよろしくで締めるという書き方である。一定の型にのっとって書くという緩やかな決まりがあり、多くの人がその形式で書いている。また論文も型に従って書かれる。現在日本で使用されている論文の型は、欧米で使用されていたものを西洋化の過程で取り入れたもので、研究者の大多数はその形式で書いている。
 手紙文や論文に限らず、新聞や雑誌に掲載される一般的な文章でも、よく観察してみれば、そこに一定の型を見ることができる。第1章では、そうした型がはっきりと見てとれる文章をモデル(手本)として利用することで、文章技術を身につけていく。型の中に何を流しこむかは書き手の自由である。そして、型をマスターすれば、あとは自分の文章スタイルを作っていくことができる。
 第2章では、情報整理と思考の整理の技法であるマッピングを行う。頭の中で行っている思考の過程を紙の上に移して別の視点から見ることでアイデアを生み出そうとするもので、これも先達が提示したいくつかの型を参考にして実践していく。
 第3章ではレポートの書き方を型に沿って学び、第4章では要約の裏ワザを伝授する。
 第5章では日本語の基礎知識と、文章を書くうえでの約束事を学ぶ。マスコミなど公の媒体で書かれている文章には、常用漢字を基礎とした一定の決まりがある。それはより読みやすい文章を目指して設定されたものであるから、それを踏襲するだけで文章力はレベルアップする。
 以上の過程を実践を通して学ぶことで、だれでも一定レベルの文章は書けるようになる。ただし内容の濃さや深さ、そして読み手に訴える力は書き手の力量にかかっている。日々何に興味を抱き、何を見て、何を読んで、何を感じ、どう行動しているかが文章力に反映される。そういう観点からいえば、文章を書くことは自分の心と思考を整理整頓する作業でもある。このテキストを、トータルな文章力を身につけることに役立てていただければ幸いである。


 あとがき

 このワークブックは、大学生を対象とした「文章論」の授業を通して気づいた書き方のコツをまとめたものです。
 大学生の文章を添削していく中で気になったのは、書き始めに苦労している点と展開のぎこちなさです。それを楽にするために行った試みが「出だしの書き方」と「文章の型」を使用する方法です。この方法は好評で、書くきっかけをつかみやすくなったという声が多数聞かれました。そのような学生から教えられる「苦労」を何とか軽減できるようくふうしているうちに、このワークブックが自然に出来上がっていきました。そういう意味では、本書は学生との共同作業の連続から生まれたものだと言っていいものです。多くの示唆をくださった学生にお礼申し上げます。
 文章が書けるようになるには、お手本が欠かせません。そのため多くの方の文章や、情報整理のためのマッピングを引用させていただきました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。
 最後に、本書の出版を快くお引き受けくださり、書き手の無理な注文にも笑顔で応じてくださった知玄舎の小堀英一社長にお礼申し上げます。
 本書が文章上達に少しでも役立てば、これにすぎる喜びはありません。


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