● 『聖母アマチの教え』−−ヴェーダの叡智
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西田みどり 著 256ページ 2004年5月9日改題新版初版発行 定価1,680円(税込)
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※本書は、『抱きしめる聖者アマチの奇蹟』徳間書店刊(1999年3月31日初版)の改題新版です。
アンマ(アマチ)のダルシャンは、純粋な「愛」そのもの。何千人、何万人訪れたとしても、最後の一人を抱きしめるまで終わることはない。「ガンジー・キング平和賞」を受賞したインドの女性聖者・アマチの教えと活動のすべて!!
●著者略歴
西田みどり(にしだみどり)
岡山県生まれ。現在、大正大学非常勤講師、文学博士。専門は比較文化、近代日本比較文化史。著書に『サイババ超体験』(徳間書店)、『今日と明日のへき地医療』(講談社、共著)などがある。
改題新版発行に寄せて
本書は『抱きしめる聖者アマチの奇蹟』の改題新版です。新版発行にあたって全体を読み返し、少しの手直しをしましたが、大きな書き直しはありません。ルポとして書いたものなので、取材当時の臨場感を大切にしたいと考えたためです。現在のアマチの活動は取材当時よりさらにダイナミックな広がりを見せています。
このようなアマチの活動の根底に流れているものは古代ヴェーダの叡智です。いにしえの時代からインドの聖者や賢者によって伝えられてきたヴェーダの叡智について、アマチは次のように述べています。
「他者への思いやり、生きとし生けるものへの敬愛、苦しむものへの慈悲、いつも初心者のような心をもつこと―これは人として備えていなければならない徳であり、リシたちが現代の私たちに精神的遺産として伝えてきてくれたものです。私たちがこれらの徳を身につけて、日々の生活に生かしていけば、至高なる人生の目的を達成できるでしょう」
このアマチの言葉は、日本の精神文化にもあてはまるものですし、世界に共通したものといってもいいと思います。本書の根底に流れるエッセンスもアマチのこの言葉に尽きるでしょう。アマチの社会慈善事業がより多くの方に行き届き、携わる人の数も増えているということは、アマチに共感している人が増えていることにほかなりません。アマチは、人のいい面を引き出し伸ばしていく霊性の師としての仕事を、このようなかたちで行っているのです。アマチの教えの理解に、本書がお役に立ったなら幸いです。
二〇〇四年四月吉日 著者
まえがき―その抱擁は、魂の進化をもたらす
「アマチ(母という意味)」の名で呼ばれるインドの女性聖者マーター・アムリターナンダマイーは、インドの聖なる母としてよく知られている。その大きな特徴は、すべての人を抱きしめるために一年の半分以上をかけて世界中を旅していることである。アメリカ、フランス、イギリス、スペイン、スイス、オーストラリア……、そして日本。行く先々で多くの人がアマチのもとにやって来る。ただ抱きしめてもらうために。
アマチの活動は大きく二つに分けられる。ひとつはインドの底辺で生きる人々に向けられたもの、もうひとつは現代人の心の渇望と傷の癒しに対してのものである。前者に対しては主に物質的な面から援助が行われている。それはハリジャンや山岳少数部族、孤児たちに教育と生活の場を無料で提供したり、やはり無料のホスピスや病院、学校を創設したりといったことである。一方、後者に対しては精神的な面と肉体的な面の両方からアマチの援助が行われる。それは「ジョーティシャ(インド占星術)」や「アーユルヴェーダ(インドの伝統医療)」、「運命転換法」を使ってである。占星術もアーユルヴェーダもそして運命転換法も、現在、巷に流布しているものとは大きく異なっていて、その根底に魂の進化というものが大きく関係している。
さて、聖者というと多くの人がいわゆる奇跡≠期待する。しかしアマチの特徴は人前で奇跡を行わないにもかかわらず、大勢の人が何もかも捨ててアマチのもとに集まってくることである。アマチ自身、奇跡を人前で行うことに積極的ではない。それは、いわゆる奇跡を見たり体験したからといって、必ずしも人格の成長や魂の進化に繋がらないからである。反対に、それによって人間の魂にとって最も大切なものを見失ってしまう可能性もある。
もっともそうはいっても人々は奇跡を期待する。だからアマチも人々に懇願されて奇跡を見せたことがある。本文に詳しく書いたが、それは小さな水差しに入った水をパンチャムリタ(インド独特の甘い飲み物)に変えたというものである。そのとき、そこには大勢の人がアマチの奇跡を見ようと集まっていた。パンチャムリタはその集まっている人たち全員に配られたが、いくら配っても減らず、最後の一人に配ったあとも水差しの口まであふれていたということだ。あるいは、アマチが空中浮揚を行ったという目撃談もある。またアマチの帰依者で高名な原子物理学者であるダベ博士は、物理学者たちの集まりにアマチを招待したときのことをこう語っている。
「みんなでアマチに原子物理学の非常に専門的な質問を浴びせかけました。アマチはすらすらとそれに答えたばかりでなく、今度は私たちが疑問に思っていた研究上の問題について次々に答えていきました。そればかりか、『もうこれ以上話してもあなたたちには理解できないでしょう、ここから先は三次元を超えていますから』といって、それでも次元を超えた話をしてくれたのです。そこに集まっていた物理学者たちは舌を巻きました。アマチのおっしゃったことはいちいち納得できることだったからです。全員がその場でアマチに帰依してしまいましたよ」
しかしアマチの行う最も大きな奇跡とは、アマチとともに過ごしたりアマチの活動を手伝うことで、人々の心と魂に変容がもたらされることである。そしてそれと同時進行で、現実に立派な病院や学校ができあがっていく。お金も何もない、ただ善意の計画だけだったものが、多くの人々の力が自然に集まって現実となっていく。それが最も大きな奇跡であり、アマチのもとに多くの人々が参集する理由でもあるのだろう。現代の聖者が行う奇跡とは、この世界での日常生活を大切にしながら、私たちを真の自由と自己実現に導くことなのだと思う。
●目 次
改題新版発行に寄せて 1
まえがき―その抱擁は、魂の進化をもたらす 3
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第一部 現代の聖者・アマチ 9
プロローグ 抱きしめる聖者 10
第一章 ダルシャン 16
すべての人を抱きしめる 16
ハンセン病のダッタン 19
一年の半分は外国へダルシャンのために 21
アマチの前では本然の姿に戻る 26
第二章 アマチの半生 30
幼少期―神を思い家事労働に明け暮れた 30
家のものを持ち出しては貧しい人に与える 32
アマチの至福の境地 35
宗教は文化によって「顔」が異なる 37
修行時代―聖者には苦難がつきもの 40
アマチの霊性修行 42
カーリー・バーヴァ 46
アマチの苦難は人々にお手本を示すため 51
第三章 聖者とはどういう存在か 56
神は人の内に宿り、ともに歩いている 56
霊性とは識別力のもとになるもの 63
霊性とは自分自身の取り扱い説明書 67
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第二部 ヴェーダの叡智を根底とする
覚醒のための三つの方法 73
アマチとヴェーダ 75
ヴェーダとは古代インドのリシたちの智慧の神髄 78
第四章 アーユルヴェーダ 82
アマチとアーユルヴェーダ 82
ヴェーダの叡智を根本にもつ治療法 84
ドーシャ・バランスを変えると心の状態も変わる 88
パンチャカルマは精神的成長の一方法 94
第五章 ジョーティシャ(インド占星術) 100
アマチとジョーティシャ 100
かつて占星術師は清らかな僧侶であった 103
避けられる運命と甘受すべき運命 105
運命は成長のチャンスとして機能する 107
惑星の影響 112
第六章 アマチの勧める運命転換法とプージャ 120
プージャは神に心を集中させる優れた技法 120
運命を転換する三つの方法 121
なぜ断食と沈黙によって運命が変えられるのか 123
神の腕のなかに避難―信仰の功徳による転換 128
神の住む真の神殿は心 137
女性とプージャ 142
仏教儀式の源流としてのプージャ 143
【コラム】 ヴェーダとは何か 146
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第三部 アマチの社会慈善活動 153
常に底辺の人たちのために 154
第七章 ホスピス―アムリタ・クリパ・サガル 157
末期ガン患者のための安らぎの場 157
神ご自身をお世話しているつもりで 159
一人前のスタッフになるには「看取る」体験が重要 165
第八章 エイムズ−最新医療設備を備えた
アムリタ医療センター 172
空の手からの出発 172
「意味のある偶然の一致」による援助 181
第九章 アマチの教育活動−アムリタ・ニケータナムと
アムリタ工科大学 185
ハリジャンと山岳少数部族のための学校 185
勉強によって意識が開けていく 189
「勉学するための天国を」との構想でできた大学 194
インドの教育問題は若者が自国に誇りをもてないこと 199
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第四部 生きる意味とその規範についての
ヴェーダの教え 205
第十章 スワーミ・アムリタギーターナンダへの一五の質問
―「バガヴァッド・ギーター」を中心として 206
一 ハリジャンに対する差別とカーストについて 207
二 神の存在を認めない人には神は手をさしのべないか 215
三 神と出会うのを望まない人たちについて 216
四 日本の教育問題について 218
五 ガンという病気が与えられる意味 219
六 死ぬ瞬間に集中した対象と死後一体になれるか 220
七 「アムリタ」の意味について 221
八 ヴィブーティについて 225
九 必ず人は死ぬのだから努力しても無駄ではないのか 228
一〇 人は自分の意識レベルに合わせて信仰の対象を選ぶのか 230
一一 間違ったグルの命令にしたがって罪を犯したとき 233
一二 グルとはどういう存在か 234
一三 人間の再生について 235
一四 神の化身が現れるとき 237
一五 信仰と狂信について 238
第十一章 現代を生きる人たちに対する
アマチからのメッセージ 242
「平和の岸にたどりつく道」 242
成長と発展の二面性 242
人間の内にある宇宙の力 244
一人ひとりの心臓で鼓動している神 245
すべての存在のなかで脈打つ生命力は同じもの 247
世界はひとつの花であり、国々はその花びら 249
あとがき 252
改題新版あとがき 253
【参考文献】 254
あとがき
本書の取材はまずアマチご自身から許可をいただくことから始まりました。
本の趣旨を話すと、アマチは、「イエス、イエス、イエス、イエス、イエス」と、イエスを五回おっしゃって許可をくださいました。私が試みたかったのは、聖者といわれる人の周辺を描くことで、聖者とはどういう存在なのかを浮き彫りにすることでした。それが成功したかどうかは読者のご判断にゆだねたいと思います。
この本を書くにあたってたいへん多くの方にご援助をいただきました。感謝を込めて以下にお名前をあげさせていただきます。
取材の計画についてアドバイスをくださったスワーミ・アムリタスワルーパーナンダ、お忙しいなかインタビューに応じてくださったスワーミ・ラーマクリシュナーナンダ、スワーミ・アムリタギーターナンダ、ブラマチャーリ・ティヤーガームリタ、ブラマチャーリ・アパヤムリタ、ブラマチャーリニ・アムリタシュリー、ブラマチャリーニ・スシーラ、ブラマチャーリニ・バッヴャアムリタ、プラサンナン、ドクター・ナーヤ、スネーハさん、そして以上のインタビューの通訳を務めてくれ、すべての取材に同行してくださったブラマチャーリ・シャーンタアムリタ。彼の献身的な協力がなかったら到底書き上げることはできなかったでしょう。
日本のアマチの帰依者の方々からも取材へのご協力をいただきました。福原久実子さん、赤塚浩子さん、渡辺雅子さん、筒井正江さん、ベイリ・大坪さん、日本マーター・アムリターナンダマイ・センターのサントーシュ、このほかにも多くの方のご援助をいただきました。貴重なお時間をさいて快く協力してくださったみなさまに心からお礼を申し上げます。そしてインド関係の資料の翻訳と励ましで全面的にささえてくれた伴侶・西田隆男にも感謝したいと思います。
また徳間書店の石井健資さん、橋上祐一さん、石川明子さんにもたいへんお世話になりました。この場を借りて篤くお礼を申し上げます。
最後に、本書の内容につきましては、たとえそれがインタビューのなかで述べられていても、すべての責任は筆者にあることを明記しておきます。また本書の印税はすべてインドでのアマチの社会慈善事業に使われます。
聖なる母アマチの恩寵がみなにありますように。
一九九九年二月二八日
改題新版あとがき
しばらく絶版になっていた本書ですが、ふたたび出版の運びとなりました。新版発行を快く引き受けてくださいました知玄舎の小堀英一さんにお礼申し上げます。本書を通してアマチの教えがより多くの方に届きますよう願っています。
二〇〇四年四月六日
●アマチの活動等についての問い合わせ先
日本MAセンター
〒206-0804東京都稲城市百村1620-1
E-mail:info@ammachi.gr.jp
URL:http://www.ammachi.gr.jp
NPO 法人国際チャリティ協会アムリタハート
E-mail:info@amritaheart.org
URL:http://www.amritaheart.org/